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東大阪・旧河澄家で「古民家の建築意匠展」 数奇屋風書院造の奥座敷に焦点

主庭から見た棲鶴楼

主庭から見た棲鶴楼

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 東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で1月16日、企画展示「古民家の建築意匠展」が始まった。

奥座敷「棲鶴楼」

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 江戸時代に日下村の庄屋を務めた河澄家。主屋の西側には庭園を備えた奥座敷「棲鶴楼(せいかくろう)」があり、棲鶴楼は1648年~1652年に日下村領主の曾我丹波守古祐(そがたんばのかみひさすけ)が隠居するために造らせたとされる。昨年開催した「河内の古民家展」では、主屋の構造を中心に紹介したが、今回は棲鶴楼を中心に、数奇屋風書院造りの装飾や、びょうぶ、掛け軸、扁額(へんがく)などの室内装飾品について展示解説する。

 棲鶴楼は、近年の調査の際に発見した棟札(むなふだ)から1835年に改造されたことが分かっており、主室は8畳間で、南側から西側にかけて、通路や家来が控える場所として使う1間の鞘の間(さやのま)がある。床の間前面の床かまちは黒漆塗りで、同展では、長栄寺(高井田元町)の住職を務めた真言宗僧侶・慈雲が書いた扁額と、幕末から明治時代の儒学者・岡村閑翁(かんおう)の掛け軸を床の間に飾る。

 壁は赤土を使った土壁と白色上質紙の貼り壁で、主室と鞘(さや)の間の天井は、横木を固定し、その上に天井板を取り付けた棹縁(さおぶち)天井となっている。かもいの上にある内法長押(うちのりなげし)は、室内装飾の役割を担っており、柱に固定するくぎ頭を隠すための釘隠(くぎかくし)と呼ばれる飾り金具が付けられている。主室西側には、松、竹、万年青(おもと)柄のすかし彫欄間が設けられ、南側には筬(おさ)欄間、鞘の間には櫛形(くしがた)欄間がある。

 鞘の間の外には手すりのついた縁側があり、手すりは転落防止のほか、デザイン面でも役割を担う。縁側の上には長い庇(ひさし)があり、屋根は、段差がついた錣葺(しころぶき)屋根になっている。

 会場では、江戸時代と現在の建物を比較できるパネルや河澄家屋敷図絵、数奇屋風書院造りの特徴、河内の古民家の紹介パネル、改修時の写真、古民家の模型などを展示する。

 同館統括責任者の堀木昌彦さんは「河澄家住宅は記録が残っているだけでも4回改修している。河澄家のことを深く知ってもらえたら」と話す。

 1月26日は、古民家の歴史や再生技術、事例について解説する「古民家再生講座」を開く。参加無料。同館まで要事前申し込み。

 開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。2月11日まで。

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