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司馬遼太郎記念館で新企画展 記者時代と作家活動初期に焦点、初公開11点

司馬さんから贈られた「一枚の絵」の解説をする上村洋行館長

司馬さんから贈られた「一枚の絵」の解説をする上村洋行館長

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 8月に生誕100年を迎える司馬遼太郎さんの作家活動初期に焦点を当てた企画展「作家の道へー司馬遼太郎と『近代説話』」が現在、司馬遼太郎記念館(東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860)で開催されている。

司馬さんが上村館長に贈った「一枚の絵」

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 前回の企画展に続き、生誕100年企画第2弾として開催する同展。1950年代の新聞記者時代から作家・司馬遼太郎へと移っていく過程を、初公開11点を含む70点の資料でたどる。

 新聞記者時代の1950(昭和25)年6月には本名・福田定一の名で、西本願寺の月刊誌「ブディスト・マガジン」創刊号で短編小説「わが障害は夜光貝の光と共に」を発表。以降、同誌には「『国宝』学者死す」「流亡の伝道僧」「饅頭伝来記」など、「司馬遼太郎短篇全集」第1巻(文藝春秋刊)に収録されている短編小説が掲載された。同誌創刊号の展示は今回が初めて。

 司馬さんが描いた「一枚の絵」は1955(昭和30)年、「ペルシャの幻術師」を執筆した頃に司馬さんが義弟の上村洋行館長の目の前で描いたもの。受け取った当時、小学6年だった上村館長は机の引き出しに入れていて裏面に文章が書かれていることに気付いておらず、裏面には「暁闇(ぎょうあん)に立つ 一本の孤峭(こしょう)な樹 を描きました。 人生へのきびしい覚悟 としたかったのです。」と書かれていた。上村館長は「額を外したら文章が書かれていて驚いた。ペルシャの幻術師を書いた後、これから作家の道を進んでいきたいという覚悟だったと思う」と話す。

 「近代説話」は、作家で僧侶の寺内大吉さんと司馬さんが1957(昭和32)年に発刊した同人雑誌。「会費は取らず出せるものが出し、作品の評価はせず、買ってもらえるような小説を書こう」と創刊したもので、後に多くの直木賞作家を輩出した。第1号には司馬さんの「戈壁の匈奴(ゴビのきょうど)」が掲載されており、司馬さんの短編小説やエッセーが掲載された初公開の同誌や、同誌に関わった人々に関連する資料を展示する。

 上村館長は「今、文化は多様化し軽薄化している。文化の大切さを司馬や知人友人作家の活動を通して受け取ってもらえたら」と話す。

 開館時間は10時~17時。月曜(祝日、振替休日の場合はその翌日)、9月1日~11日、12月28日~1月4日休館。入館料は、一般=500円、中高生=300円、小学生=200円。来年2月18日まで。

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