東大阪市役所本庁舎1階ロビーで2月24日、TBSドラマ「下町ロケット」の特別企画展示が始まった。
昨年10月18日から12月20日まで放送された、池井戸潤さん原作の同名小説をドラマ化した同作品。国産ロケットエンジンや心臓人工弁の開発をめぐる町工場の姿を描き、高視聴率をマークした。同作品の制作では、大阪に総本社を構えるフジキン(大阪市北区)が撮影協力した。
同社は1930(昭和5)年、配管材料や機械工具問屋として創業し、1967(昭和42)年には東大阪市内に大阪工場(長田3)を建設。1976(昭和51)年には宇宙ロケット用バルブ生産のため、業界に先駆け同工場内にクリーンルームを新設し、ロケット用バルブ機器を初めて国産化した。宇宙開発分野では、ロケット燃料の制御や宇宙空間における生命維持装置など、種子島宇宙センターに5000台以上を納入する実績を誇る。
同作品では、日本バルブ工業会を通じて打診された同社が、撮影で使用する佃製作所と帝国重工のバルブを、万博記念つくば先端事業所(茨城県つくば市)と大阪工場で製作。ガウディ計画編で登場する人工弁やシュレッダーなども製作した。帝国重工のロケット開発室は、稼動前のつくば先端事業所の一部。同社の社員も帝国重工の社員としてエキストラで参加したという。
同展では、ドラマで使用したバルブや人工弁、佃製作所、帝国重工の制服など約30点を展示。大阪工場で開発・製造され、実際に宇宙関連施設やロケットに使われている部品なども展示する。期間中の月曜・水曜・金曜の11時30分~13時30分(24日のみ10時30分~13時30分)には、制服を着てバルブを持って記念撮影することができる。
初日には、「ドラマを通じて中小ものづくり企業の技術力の高さを表し、ものづくりに対するイメージアップにつながった」とし、「ものづくりのまち東大阪」「中小企業のまち東大阪」を標榜する同市の都市イメージ向上につながったとして、市長が感謝状を贈呈。記念撮影で帝国重工の制服に袖を通したものづくり部門製造本部副本部長・大阪工場長の中村政浩さんは「実際の立場は佃ですが・・・」と言いながら撮影に応じ、「東大阪でロケットやほかの業界の心臓部を作っているというのを見てもらいたい」などと話した。
展示時間は9時~17時30分。3月16日まで。