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東大阪・旧河澄家で「鷹匠展」 「鷹狩りの文化を後世に」、鷹匠の講演も

タカの止まり木やタカを呼び戻す際に使うものなど鷹狩りの道具を展示

タカの止まり木やタカを呼び戻す際に使うものなど鷹狩りの道具を展示

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 東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で5月18日、企画展示「鷹匠(たかじょう)展」が始まった。

宮内庁から支給された口餌籠

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 鷹狩りの歴史は古く、日本では仁徳天皇時代の355年に伝えられ、日本書紀には仁徳天皇が鷹狩りを行ったことが記述されており、6世紀後半の古墳からは肩にタカを乗せ鷹狩りの道具を身に付けた埴輪(はにわ)が出土し、朝廷で栄えていたとされる。戦国時代には徳川家光、吉宗らに愛されて、将軍が鷹狩りをするためのタカを調教する鷹匠が幕府に置かれ、明治以降、鷹狩りの文化は一度衰退したが、伊藤博文らの進言により、鷹匠は鴨場の管理者として宮内省の正式な役職となった。現在は民間団体などにより、その文化が受け継がれている。

 同展に協力したのは、吉田流鷹匠の西尾俊通さん。諏訪流を起源とする吉田流は徳川将軍家お抱えの鷹匠集団の一つで、鶴など大型の獲物を捕らえるオオタカを扱う技術をいち早く確立。幕府が朝廷に献上する鶴を捕らえる、最も厳かな鷹狩り「鶴御成(つるおんなり)」で重用された。

 西尾さんは、1975(昭和50)年に日本鷹狩りクラブ(現・日本ワシ・タカセンター)の鷹匠・丹羽有得さんに師事し、翌年には高橋進さんに師事。現在は、猛禽(もうきん)類の繁殖研究や鷹匠に関する古文書の翻刻などを手掛け、文化の継承に尽力する。

 会場では、宮内庁から支給された口餌籠(くちえかご)や、西尾さんが自ら漆を塗り、螺鈿(らでん)を施した餌合子(えごうし)、タカを腕に据える際に着ける手袋、タカをつなぐために足に着けるひもなど、鷹匠が使う道具約25点を展示。

 「先見の明」「幸運を離さない」などの願いを込めタカの刺しゅうをしたお宮参りの初着や、葛飾北斎作「桜に鷹」、歌川広重作「鷲の図」などタカやワシにまつわる作品のパネル、明治・昭和の鷹匠の写真などを展示し、DVDも上映する。

 6月4日の13時~15時には、江戸時代における「鶴御成」や、泊まりで鷹狩りをする鷹匠や幕府のタカを泊めていた庄屋屋敷と鷹匠の関係について西尾さんが話す歴史講座を開講。定員40人、参加無料。電話またはホームページから申し込みが必要。

 学芸員の松澤加弥さんは「西尾さんはタカが好きで、鷹匠の文化を残したいという思いが強い。自作された道具はどれも素晴らしく文化が皆さんに伝われば」と話す。

 開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。6月18日まで。

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