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東大阪で「須田剋太展」先行展示 「街道をゆく」挿絵や抽象画など26点

「街道をゆく」第3巻「河内みち」の挿絵原画

「街道をゆく」第3巻「河内みち」の挿絵原画

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 東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)1階で9月5日、「Art Planet東大阪 須田剋太展―『街道をゆく』挿絵原画と抽象画―」の先行展示が始まった。

同館に展示する「若江村ダンジリ夜景」のレリーフ

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 1906(明治39)年に埼玉県で生まれた須田剋太(本名・勝三郎)さんは独学で絵を学び、1936(昭和11)年の文展で「休憩時間」初入選。1939(昭和14)年に「読書する男」、1942(昭和17)年に「神将」で新文展特選を受け、1947(昭和22)年には「ピンクのターバン」が日展で特選を受賞した。

 その後、西宮に移住し、1949(昭和24)年に抽象画家の長谷川三郎さんと出会って以降、これまで主に制作していた具象画から抽象画へと作風を転換。1971(昭和46)年から病に倒れる1990年まで、司馬遼太郎さんの紀行文集「街道をゆく」の連載で、取材旅行に同行しながら挿絵を担当した。死期を感じた須田さんは作品を散逸させないため1990年、「街道をゆく」の挿絵原画など約2200点を大阪府に寄贈。同年、84歳で死去した。

 同展では、「街道をゆく」の第3巻から「河内みち」の挿絵原画16点と、市制施行50周年にちなみ約50年前に描かれた抽象画の油彩画3点、グワッシュ7点を展示。具象画と抽象画、両方の作品を展示する。

 「河内みち」は司馬さんと須田さんが1972(昭和47)年の夏に東大阪市内の自宅を出発し、当時の若江村から、平石峠、高貴寺、弘川寺、観心寺を経て、大ヶ塚顕証寺で旧暦の8月1日に行われる八朔祭りを楽しむまでの紀行文で、同館階段横の壁面には、「河内みち」に収められた「若江村ダンジリ夜景」のレリーフがあり、展示する原画と合わせて楽しむことができる。

 同館学芸員の柳知明さんは「誌面は白黒なのに、原画に色が付いているところが面白い。絵の中に地名が書かれているのも特徴的」と言い、「ここでの展示の後は鴻池新田会所で展示するので、重要文化財の建物の雰囲気の中で作品を見ていただき、須田剋太に関心を持ってもらえたら」と話す。

 鴻池新田会所(東大阪市鴻池元町)では9月26日から10月1日まで同様の展示を行う。

 開館時間は10時~17時。月曜休館。入場無料。9月24日まで。

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