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近畿大学、落語家による授業でコミュニケーション力養成 講師に桂花團治さん

桂花團治さんと受講した学生

桂花團治さんと受講した学生

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 近畿大学(東大阪市小若江3)で6月10日、上方落語家・桂花團治さんを講師に迎え、授業が行われた。

学生と一緒に大喜利を行った

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 同大学経営学部では今年度から、コミュニケーション力やプレゼンテーション力の養成を目的に、落語家を講師に迎える授業を実施。同学部の中谷常二教授は「大学に慣れるための1年生を対象にする基礎ゼミの一環。大学で必要な、文章作成やコミュニケーション能力、プレゼンテーション力を習得することを目的としている」と話す。

 「落語を通して発声方法や声のトーン、視線などを学んでほしい。大阪にある大学なので、上方落語に親しんでもらいたいと花團治さんに講師を依頼した」と中谷教授。約500人を対象に、計19回行う。

 約20人が出席した授業の冒頭では落語の特徴について話し、どのように笑いが生まれるかについて解説。しばらく講義した後、「僕と目が合った人」と尋ねると学生全員が手を挙げ、「話す時に一人一人に話しかけないと伝わらない。大きい声で話せば伝わるというものでもない」など、人前で話す時のポイントを挙げる。

 授業では落語「一文笛」を披露。花團治さんは「登場人物が多く、兄貴のまなざしが落語っぽいのでこの演目を選んだ」という。学生5人と大喜利をしたり、狂言の「二字上がり」を用いると感情移入がしやすいと狂言のセリフを練習したりするなど、実践的な要素も盛り込んだ。

 受講した学生は「大喜利はすぐに答えないといけないので難しかった。話し方を教えてもらったのでプレゼンするときに参考にしたい」「落語をするしないに関係なく、役立つことが多かった。一番前で落語を見られてよかった」「何回も目を見て話してくれたので話が入ってきた。これから発表する機会があるので使いたい」と多くのことを学んだ。

 授業を終え、花團治さんは「元々僕は吃音(きつおん)で赤面症で人前に出るのが苦手だった。人前での話し方が悪くて怒られ、僕がしかってもらったことを学生に伝えたいとの思いで授業をした。同じ悩みを持っている人もいると思うので、これをきっかけに解消してもらえたらうれしい」とほほ笑む。

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