東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で現在、「菊花展」が開かれている。
日下菊花愛好家有志の会が2017(平成29)年に始めた同展。毎年この時期に、同会メンバーがそれぞれ育てた菊花を持ち寄り、主屋南側の軒先を彩る。出展は開催当初20鉢程度だったが、毎年少しずつ数を増やしているという。
同会の川上朝次郎さんは50年ほど前、菊を育てていた近所の人から「作ってみるか」と苗をもらったのがきっかけで菊を育て始めたという。「3年目で品評会に出品した際に新人賞を受けてから、菊作りにどんどんのめり込んでいった。これまで金魚や熱帯魚、サツキ、ハナショウブなどを育ててきたが、菊が一番長い」と川上さん。「菊が咲くまでが仕事。夜中に手入れをすることもあり、花が咲きかけてくる時が一番楽しい」と話す。
川上さんによると、品評会に出すには品種の異なる16鉢を作る必要があるため、これまでは出品のために毎年150鉢ほどを畑で育てていたという。「花が咲いたら葉を腐らせて来年の準備をするため、菊は一年中やらないといけない。大変なので最近は品評会には出さず、育てて家で見ていただけ」と川上さん。日下自治会から同館で展示をしないかとの話があり、5年前から同館で菊を展示している。
同展では、川上さん、田平米男さん、藤井滋さんがそれぞれ育てた菊花を展示。1本の苗から3本の枝を伸ばす「三本仕立て」、背の低い三本仕立て「ダルマ」、背が低く花が大きな「福助」、崖から垂れ下がるように仕立てた「懸崖(けんがい)」、鉢の上に丸く仕立てた「梵天(ぼんてん)」など、さまざまな姿の菊が並ぶ。
川上さんは「これまで花弁が鱗(うろこ)状に咲く大菊の厚物が多かったが、違うものも見てもらおうと、30年ほど前に育てたことがある太管(ふとくだ)・細管、天皇家の御紋章に似た一文字を作ってみた。こういう菊もあると知ってほしい」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入場無料。11月20日まで。