金属加工業のアイズファクトリー(東大阪市柏田西2)が2月27日、足踏み式酒サーバースタンド「ふみ酒」の販売を始めた。
OEMで店舗用ディスプレー台やパンフレットラックなどの企画・製造を手がる同社。新型コロナウイルスの影響で注文がなくなり、専務の西村正弘さんが「金属加工で社会の役に立てるものを作りたいと考えた」という。1回目の緊急事態宣言発令中の2020年5月、初の自社製品となる足踏み式消毒液スタンドの試作品が完成、同6月から販売を始めた。その後、消費者からの意見を基に、受け皿付きタイプや動物のパネル付きで高さの低い子ども向けスタンドなど、利用シーンに合わせた消毒液スタンドを開発し、これまでに20万台以上を出荷した。
飲食業界では慢性的な人手不足の問題があるが、「無人化や省人化も仕方がないが、飲みニケーションが好きな自分として味気なく感じている」と西村さん。省人化を促進し、利用客の会話のきっかけを生み出すサーバー「ふみ酒」の開発に取り組んだ。
同商品は、足踏み式消毒液スタンドと同じ構造で、ペダルを踏むと設置したボトルから酒を注ぐことができる。4リットル、5リットルのペットボトル焼酎やウイスキー、一升瓶の日本酒などのほか、ポン酢などを置いて使える。昨年10月からは東京都内の飲み放題の居酒屋に設置し、耐久性や安全性などを検証。「消毒液のイメージがあるので、この商品を使ってお酒を注ごうと思うかどうかを心配していたが、楽しくてつい踏んでしまうという声が利用客から寄せられた」という。
検証した試作品にさらに改良を重ね、照明装置と音声装置を装着。照明は色や明るさを調整することができ、重量センサーと組み合わせてボトル交換のタイミングを照明で知らせる。音声装置にはサンプル音源を用意するが、店主の声などを録音してSDカードに入れ、踏む度に音声が流れるようにすることもできる。ランダムに音声を流すことができるため、抽選などにも利用できる。
「食事は合理性だけで割り切れない。合理的だけど楽しく食事ができるシーンを提供したい」と西村さん。ネオ居酒屋や立ち飲み店、テラスバーベキュー、オートキャンプ場などでの利用を見込む。価格は7万6,780円。