「大阪府立中央図書館 国際児童文学館」(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)が現在、街頭紙芝居の原画展示を行っている。
同館によると、紙芝居は1930(昭和5)年に現在の形になったとされており、街頭紙芝居は昭和初期から戦争による中断を経て昭和30年代中頃まで行われていた。最盛期の1949(昭和24)年には、全国に約5万人もの紙芝居師がいたという。
1912(明治45)年に長野県で生まれた故・塩崎源一郎さんは、17歳で上京し、19歳で紙芝居と出合い、紙芝居師として営業を始めた。その後は大阪で活動を続けたが、第二次世界大戦に召集され、復員したものの足を悪くしており、紙芝居を製作して紙芝居師に貸し出す「絵元」になろうと、1947(昭和22)年に紙芝居総合センター「三邑会(さんゆうかい)」を設立。1980年代からは紙芝居の保存と紙芝居師の育成に力を注ぎ、1995(平成7)年には「塩崎おとぎ紙芝居博物館」(大阪市西成区)を創設。2000(平成12)年に塩崎さんが逝去した後も、三邑会を拠点に現在14人の紙芝居師が活動を続けている。
国際児童文学館は、塩崎さんが寄贈した160タイトル約4000巻の紙芝居原画や複製画を収蔵。原画はすべて手描きの一点物という。同館では、4000巻(約4万枚)の絵の面をデジタル化し、ウェブサイトでも公開している。
同館では現在、代表的な紙芝居画家6人の作品を解説パネルとともに展示している。エントランスには、酒井七馬と手塚治虫の共著「新宝島」、酒井七馬が左久良五郎のペンネームで描いた紙芝居「鞍馬小天狗」の原画を展示する。展示室では、漫画家の小寺鳩甫(こでらきゅうほ)が熱田十茶(あったとさ)のペンネームで描いた「大久保彦左衛門」や、洋画家の武部本一郎が宇田野武の名で描いた「鉄拳」、画家の忽那峰秀が日本画をベースにくつなつとむの名で描いた「少年龍騎隊」などの原画が並ぶ。
国際児童文学館の中野あゆ美さんは「1巻10枚の紙芝居は、躍動感のある絵やドラマチックな展開で、毎回次が楽しみになるよう工夫されている。子どもが活躍する作品や時代物、SF、西部劇、ユーモアのある作品などバラエティーも豊か」と話す。
11月4日は、現役紙芝居師が実演する街頭紙芝居イベント「むかしの紙芝居を楽しもう!」(13時30分開場、14時~15時)を2階多目的室で行う。参加無料。中野さんは「昨年は人数制限があったが、今年はないので多くの幅広い層の方に見てもらいたい」と来場を呼びかける。
開館時間は9時~17時。月曜、10月10日・12日休館(10月9日は開館)。11月5日まで。