「TNK BASE -東雲(しののめ)食堂-」(東大阪市新家中町)で1月29日、食イベント「黄昏食堂」が開催された。
東大阪市出身の辻本太郎さんが「地元を面白い場所にし、日本全国を旅した時にお世話になった人が集まれる場所を東大阪につくりたい」と、2020年5月から友人たちとDIYで改装した「TNK BASE」。イベントを開催できるシェアハウスとして、住人の学生たちとイベントを開いて地域の人たちと交流を図り、2022年にはクラウドファンディングを活用して1階にダイニングキッチンを開設。夜はシェアキッチン、レンタルスペースとして間借り営業をしたい人やワークショップの会場として貸し出し、昨年4月からは辻本さんとスタッフの佐藤菜々子さんの2人で、昼の時間帯にまぜそば店「東雲食堂」の営業を始めた。
同店で初めて間借り営業をしたのは、食イベント「黄昏食堂」の料理人・西村宣哉さん。西村さんも旅が好きで、辻本さんとは学生時代に世界一周の夢を発表するコンテストで知り合い、大学卒業後は、福井県越前市の懐石料理店で料理人の修業をしている。TNK BASEで料理のイベントを開催できると知った西村さんは、「一緒にやってみたい」と辻本さんに連絡をとり、2022年5月に1回目の黄昏食堂を開いた。
毎月第4月曜に開催する同イベントは、西村さんが食材を準備して日曜の営業終了後に福井から東大阪へ車で移動し、月曜の日が暮れてから開く食堂。旬の野菜や魚、ジビエなど、福井県産の食材を使って毎月テーマを変え、コース仕立ての料理などを提供している。西村さんは「地元でイベントを開催したら友達が来ていい意見ばかり言ってくれるので、本当の厳しい目で見てもらって第三者の意見をもらいたいと、東大阪まで営業しに来ている」と話す。
1月29日のメニューはイノシシをメインにしたもので、イノシシと野菜の串揚げ、ボタン鍋、一品料理、おでんなどが並ぶ。イベント中盤には、同店で知り合った京都の割烹料理店で働く矢野太晴さんと一緒にタイとヒラメを参加者の目の前でさばき、刺身や一品料理を作って提供した。矢野さんも食のイベントに興味があり、予定が合う日は一緒に厨房に立って、その場にある食材で一品料理を作るなどしている。
間借り営業を始めてから1年以上がたち、西村さんは「お客さんが言っていた意見を伝えてもらえたりするなど、毎回成長させてもらっている。最初はシェアハウスに住んでいる学生ばかりだったが、最近は地域の大人の人が増えてリピーターもいるので、地域の人が集うイベントにしていきたい」と意欲を見せる。
辻本さんは「西村さんが毎月、間借り営業をするようになって、借りてくれる人が増えた。カレー屋さんやカフェの日も人気。間借りしてもらってばかりなので、これからは自分たちのイベントもしていきたい。今は地域コミュニティーが希薄化しているので、疑似的でもいいから近所の人がつながる場所にしていけたら」と話す。
次回の「黄昏食堂」は3月25日。