クリエイション・コア東大阪(東大阪市荒本北1)で3月10日、工業デザイナーの喜多俊之さんを迎えた「第16回東大阪市デザインセミナー&アドバイス会」が開かれた。
東大阪市内企業の高い技術力にデザインを融合させ、高付加価値のオリジナル製品を世界にいち早く送り出すことを目的に、2010年に始まった「東大阪デザインプロジェクト」。家具、家電、ロボットから家庭用品に至るさまざまな製品のデザインを手掛け、上海万博日本産業館のデザインディレクターや伝統工芸・地場産業の活性化において活躍する工業デザイナーの喜多俊之さんを「東大阪市デザインクリエイティブディレクター」として迎え、デザイン力を高めるためのセミナーなどを開催してきた。
16回目を迎えたデザインセミナー&アドバイス会は、市内企業が製品を持ち込み、公開形式で喜多さんが直接アドバイスをするもので、今回は5社がプレゼン。キッチン用のハンマーを試作した企業には「洗いやすい形にした方がいいし、柄を5センチ短くしてもいいのでは」などと具体的に指摘し、新しいデザインの風呂のふたを作りたいという企業には既存製品の中から新製品にしやすい製品を選び「これを改良し、どうブランド化すればいいかを考えて」と伝えるなど、製品デザインだけでなく、ニーズや素材、ネーミング、安全性、コストなどについてもアドバイスした。
アドバイス会の前後にはスライドを用い、国際展開を目指し海外市場向け製品を開発した泉州タオルの事例や、海外企業のデザイン事情などを解説。「使い捨てではなく、本当の値打ちや愛着がこれからの製品作りの核になる。人のやっていない少し背伸びしたものを作るのが大事」と締めくくった。
デザインセミナーに初めて参加した日の出製作所の蜷川きよしさんは「あまり見ることのない海外の見本市の様子も見られてよかったし、すごく真剣にアドバイスされていて自分へのアドバイス以外も勉強になった。今日聞いたことを取り入れながら、ちょっと変わったものを作っていきたい」と話す。