企画展「伸びて繋(つな)がるモノづくり展2 つくるを支える工具と道具」が9月18日、東大阪市役所1階多目的ホールで始まった。
東大阪市内のものづくりの歴史と魅力を紹介する東大阪ブランド推進機構主催の同展。昨年8月から9月にかけて開催された第1弾では、東大阪市内の伸線業にスポットを当てた。今回の第2弾展示では、現代までどのような進化を遂げたのか、工具や道具の歴史を16社の製品と資料で紹介する。
東大阪市文化財課の資料では、東大阪市内で発掘された木の柄が付いたおのや有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)と共に石器を作るための道具を展示。東大阪ブランド推進機構理事で廣田工具製作所(東大阪市南四条町)社長の廣田義人さんは「石器を作るためにもこの時点で道具があり、有舌尖頭器の加工にも鹿の角を使った道具があったということも研究されているので、昔から道具、工具は人々の身近にあったということが分かる」と解説する。
江戸時代の鍛造に関する資料では、鍛冶職人が使っていた道具「かなばし」を紹介。鉄の棒2本を交差させて穴を開け、鋲(びょう)で結合したもので、ペンチ、ニッパー、はさみの原型となるような形が確立されている。現代では鍛造機械と金型を使って工具を作っており、会場では鍛造機の模型と合わせ、ハンマーによる鍛造とモンキーレンチの製造工程を映像で紹介する。
同展では、大阪商業大学(御厨栄町)総合経営学部経営学科の粂野博行教授のゼミ生が東大阪市内の企業を訪問し、「東大阪にはなぜ工具メーカーが多いのか」を調査・研究してパネルにまとめている。ペンチ・ニッパーを製造する「フジ矢」(松原2)を訪問した経営学科3年の岡尚平さんは「焼き入れやメッキを外注しており、協力工場が東大阪に集まっていたから」、バリカンの発明に始まり、モンキーレンチなどの作業工具を手がける「ロブテックス」(四条町)を訪問した商学科3年の坪井愛乃さんは「地場産業である鋳物(いもの)の名残」と結論づけた。精密板金加工を手がける水野製作所(中石切町6)を訪れた河野悠泰さんのチームは、工具を使って板金加工を体験できるコーナーを設けた。
会場には、工具の技術を生かして作られたペット用の爪切りや釣りの道具などの暮らしにまつわる製品や、精度や使いやすさを追求して進化した専門工具なども展示する。
廣田さんは「市民の方々にこういう物を作っていると知ってもらいたい。小中学生も今は工場見学が少ないので、面白い、かっこいいと感じてほしい。現場の人が見ても面白いと思ってもらえる展示になっているのでは」と話す。
開催時間は9時~17時30分。9月25日まで(土曜・日曜・祝日除く)。
10月4日~10月30日は、ものづくりビジネスセンター大阪「MOBIO(モビオ)」(荒本北1)で巡回展示を行う。10月22日はMOBIOで「石器時代の工具から未来への工具へ」と題したトークセッションを開く。