ねじ商社のサンコーインダストリー(大阪市)と自動配送ロボットを開発するHakobot(ハコボット、宮崎市)が1月27日、自動配送ロボットを使った搬送実証実験を公道で行った。
Hakobotが開発する自動配送ロボット「Hakobase(ハコベース)」に重さ100キロのねじを積んで行う公道搬送実証実験の2回目。Hakobaseは四輪駆動・四輪操舵を実装し、小型だがパワフルな操作性と小回り性能が特徴という。重さ100キロまで運ぶことができる機体の特徴を生かし、工業用途に利用しようと実証実験を重ねている。昨年7月に行った近畿大学とHakobotの共同研究による1回目の実証実験では、サンコーインダストリー東大阪物流センター(東大阪市本庄西1)で重さ100キロのねじを積み、取引先の深輝精工(同)までの約180メートルを走行した後、加工済みのねじを積んで物流センターに戻る実験に成功した。
実用化に向けて行われた2回目の実証実験では、配送先の拠点を1カ所増やして2拠点とし、前回より長い約1.2キロのルート配送ができるかを検証する実験を行うとともに、新たに実装したユーザー用インターフェースを使い、エンジニアではないサンコーインダストリーの社員が自動運転に必要な3Dマップと走行経路を作成する2つの検証が行われた。Hakobotの大山純社長は「今回は、より実用化に向けた実証実験で、導入後に配送先が増えたり走行ルートが変更になったりした時に、わざわざ私たちエンジニアが行くのではなく、導入事業者側で解決できる可能性があるのでは、と運用の部分を行ってもらった」と話す。
実証実験では、サンコーインダストリーでねじを積み、深輝精工へ配送。集荷した荷物を藤本産業(本庄中2)へ配送する道中の信号のある交差点ではスタッフが遠隔操作したが、段差や勾配のある所も走行し、サンコーインダストリーまで戻った。
サンコーインダストリーの奥山淑英社長は「工場が点在していて、工場間輸送は100メートルや200メートルの距離だが、ねじや工業利用の部品は重く、台車で押していくのはかなりしんどい。その距離でトラックを出すとなると、物量をためて1日1回しか出せず、リードタイムがかかる。このロボットだと多頻度納品が実現できるので、効率化も図れるし、段取りがしっかり組めるようになる。大山社長によると、機体のハードウエア部分は東大阪市内の企業でほぼ作れるのではという話なので、東大阪で作って、実験して、改修して、実際に使うと開発スピードも上がるし、この街に魅力を感じる企業がたくさん出てくるのでは」と話す。
今回の実証実験ではスタッフが機体のすぐそばにいたが、実用化には遠隔地からの監視と操作ができるシステムの導入が必要。大山社長は「昨秋から遠隔操作・監視システムの開発をスタートさせている。今年の夏ごろまでに実装して、次は遠隔地からの操作による実証実験を行い、適合審査に合格するというところを進めていきたい」と話す。