国指定史跡・重要文化財の鴻池新田会所(東大阪市鴻池元町、TEL 06-6745-6409)で6月17日、蔵出し展示「手焙(あぶ)りいろいろ」が始まった。
会所と鴻池本邸、芦屋別邸で使用していた火鉢・手焙りを集める同展示。同館では地域の小学生の授業内容に合わせた展示や、さまざまなテーマでの所蔵品の展示を行っており、「民具を整理したところ、まとまった数があった」と同展を企画した。火鉢類のみの企画展示は初めて。
会場には、明治から大正時代に使われていたと推測される火鉢・手焙り39点を展示。祝い事や仏事で使用されたものも多く、春慶塗の曲げ火鉢に松唐草を描いたものなどは祝い事に使われたもの。宣徳(せんとく)火鉢は底に「新田開発記念 鴻池家」と記されており、節目の年に記念行事を行う鴻池家で、新田開発200周年に当たる1905(明治38)年に製作されたものと考えられるという。
正方形の形状と猫脚(びょうきゃく)が特徴の御殿火鉢は大名火鉢とも呼ばれ、漆塗りや錺(かざり)金具が施されたものもある。学芸員の別所秀高さんは「鴻池当主や来客のために使われたのでは。かなり高価だと思われるものもある」と話す。鴻池家の家紋・五つ山紋が施された特注品と見られる手焙りもある。
椅子に座る際に使う火鉢や桐の火鉢、取っ手の付いた磁器の火鉢など、陶磁器製、金属製、木製など、さまざまな素材の火鉢が並ぶ。
「御殿火鉢は初めての展示。当時はこういうものを使っていたんだと感じてもらえれば」と別所さん。
開館時間は10時~16時。月曜・祝日の翌日休館。入館料は、大人=300円、小・中学生=200円。7月17日まで。