東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で現在、企画展「河内木綿展」が開かれている。
河内地方での綿の栽培は、江戸時代初期にはすでに盛んに行われていた。1704年の大和川の付け替え以降、より広範囲に栽培・収穫されるようになり、綿布だけでなく実綿や繰綿も商品売買の対象となった。1712年に寺島良安が編さんした「和漢三才図会」の木綿の項目には、河内木綿が松坂木綿に次ぐ上品と記されており、着れば着るほど肌になじみ、丈夫で長持ちする河内木綿の綿服は重宝されたが、明治時代の文明開化により外国綿が輸入され、安価な糸が大量に出回るようになり、河内木綿は衰退の一途をたどった。
同展では、河内木綿の歴史や加工の過程を紹介するパネルと共に、交野市教育委員会などが所蔵する河内木綿の加工に使用した民具を展示する。
「綿の展示」では、収穫した綿の実と種を分ける綿繰り機や綿を打って巻き付けた篠巻(じんき)などが並ぶ。「糸の展示」では、糸を紡ぐ際に使用する錘(つむ)や糸車、手代木など、「織の展示」では、筬(おさ)や綜絖(そうこう)など織り機の部品や反物、河内木綿で作ったバッグや日傘などの作品も展示する。
「綿が着物になる工程は想像しにくい。河内を支えた産業としての河内木綿が、綿からどうやって着物になっていくのか、パネルや民具を見ながら考えてみてもらいたい」と学芸員の松澤加弥さん。期間中は、同館の畑で栽培・収穫した綿の実を使った綿繰り体験を随時開催。「綿繰りした種は育て方を書いた紙と共に渡しているので、家で植えてもらえたらうれしい」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館無料。12月16日まで。