東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で現在、特別展「~愛する風景に暮らす画家~ブライアン・ウィリアムズ」が開催されている。
1950(昭和25)年、ペルー生まれの米国人風景画家・ブライアンさんは、カリフォルニア大学で美術を専攻し、1972(昭和47)年、世界一周の写生旅行の途中で立ち寄った日本でかやぶき民家を見た際に「自然の素材が周りの景色と調和しているのを非常に美しいと感じた」とほれ込み、日本に移住。水彩画、油彩画、版画のほか、表面が湾曲したパネルに描く独自の技法を使った「曲面絵画」で自然や原風景を描き、環境保全活動にも取り組む。
曲面絵画は、高所作業車上での制作中に筆を落としたことをきっかけに誕生したという。落とした筆を見つけようと下をのぞき、視線を戻した時に「人間の視野は球体的に感じている。体の感覚も球体。画面を曲げればそれを表現できるのではとひらめいた」という。絵を描いた紙を曲げてみたところ、「臨場感が違う。これは面白い現象だ。曲げることによって球体の感覚と目の動きの2つを表現できる」と、2007年ごろから曲面絵画の技法を探っているという。
2階に上がった正面では、2.31メートル×3.75メートルの曲面作品「錦秋清水」(2011年)が出迎える。初期の作品では、ベトナム戦争反対のデモ行進や使い捨て問題を意識した作品を展示し、風景画では、船をチャーターして描いた厳島神社の大鳥居や、登って描いたエベレスト、月明かりで描いた作品、同じ風景を描いた曲面作品と平面作品など、さまざまな視点で描いた作品が並ぶ。
「誰にでも毎日『名一瞬』があり、そのために生きている。名所より名一瞬を描くのが好き」とブライアンさん。「自然はあっちで自分はこっちというのは固定観念。私たちは自然の一部で世界と調和している。自然と共に生きている営みが素晴らしいことで、その魅力と健全さを味わってほしい。名一瞬を感じてもらえれば」と話す。
6月15日・16日は10時から、ブライアンさんの作品解説で巡るギャラリートークを行う。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入場料500円。6月16日まで。