大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)1階展示コーナーで現在、企画展示「太宰治生誕110年 太宰治の文壇交友録」が開かれている。
1909(明治42)年6月19日に青森県で誕生し、1948(昭和23)年6月13日、玉川上水に入水し、38歳の若さで生涯を閉じるまで膨大な作品を発表し、人気を博した太宰治。同館では昨年、没後70年の企画展で作品を中心に紹介し、今年は「人間性や人生が投影される人で交友関係が面白い」と、関わりのあった作家や評論家、編集者、友人、女性など39人をピックアップし、太宰について書いた記録や小説、随筆などを展示する。
同展では、交流のあった人物のプロフィールをパネルで紹介。井伏鱒二、佐藤春夫の2人の師や弟子たち、無頼派作家の坂口安吾、織田作之助、文芸誌「青い花」同人の檀一雄、伊馬春部、中原中也、同郷・同窓の友人、本妻の津島美智子、最初の心中相手の田部あつみ、最後の愛人の山崎富栄らが並ぶ。
パネルでは、それぞれが太宰について書いた一文を掲載。「相手やその場の空気に合わせていく人で、人によって描かれ方が違う。今のツイッターなど自分を演じているものに通じるのでは」と調査相談課人文系資料室室長の八木美恵さん。
会場には、太宰の著作や交流のあった人物が太宰について書いた書籍、「走れメロス」を特集したコーナーなど、約550冊を展示。
八木さんは「文庫本の蔵書は少ないが、表紙が今時のものも入れ展示している。近代の作品は若い人の間では読みにくいとされているがゲームやアニメを入り口に、興味を持ってもらえると読み通すことができる。難しいものを読み通すことができる一助になれば」と話す。
同フロアでは、中島敦、松本清張、大岡昇平など、今年同じく生誕110年を迎える作家の資料も展示する。
開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日は17時まで、月曜、6月13日休館)。6月30日まで。