東大阪の川端ネジ製作所(東大阪市衣摺4、TEL 06-6728-7570)が現在、ボックスに詰め合わせたディスプレーネジをバレンタイン商品として提案している。
1953(昭和28)年創業、工業用ミシンなどの精密ネジを中心に、さまざまなネジを製造する同社。「あらゆる製品はネジがなければ成り立たないのにネジ自体は見向きもされない。重要な部分なのに隠されてしまうネジに、遊び心とデザインを施すことで新しい製品にできないか」と考えた代表の川端謙二さんは、傷やへこみのある不良品をデザインの一部に応用した「ディスプレーネジ」を企画した。
商品の完成後、展示会に出品したが、「発想は面白いと反響があったが、販売側も組み立て側も『ネジを見せる』という発想がなく、どのように使うか理解されず取引には結びつかなかった」と川端さん。すぐさま百貨店やさまざまな建築物などを見て回り、ディスプレーネジがどのように使えるかをシミュレーションした。
利用シーンを想定した提案をしたことから業界紙などで徐々に紹介され始め、東京の家具デザイナーが工場を訪問。「デザイナーや企画担当の人がいろいろなデザインのネジを探していることを知り、娘が独学でホームページを制作して自社の技術を発信した」ところ、発注したデザイナーによる口コミ効果もあり、商業施設やホテルなどに使用するオーダーメードのディスプレーネジを受注するようになり、オリジナルの化粧ネジではグッドデザイン賞も受賞した。
4~5年前ごろからはディスプレーネジをギフトボックスに詰め合わせ、「バレンタインネジ」として個人向けに提案。ネジやナットの組み合わせはおまかせで、3個=2,160円、9個=5,400円、12個=8,640円で販売。現在は3個入りの注文が多いという。川端さんは「今後もここにしかないネジを使い方とともに提案していきたい」と話す。
「バレンタインネジ」は、電話、ファクス、ネットで注文を受け付けている。