
企画展「浮世絵展~浮世絵にみる風景と暮らし~」が現在、東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で開催されている。
企画した1級建築士の小原公輝さんは、住まい再生を通じて地域活性を図る団体「河内いえ・まち再生会議」の理事長を務める。同団体は、建築家や大学教員、地域文化誌編集者らが理事となり、2014(平成26)に設立。古民家や空き家の再生を中心に、地域の歴史や暮らしの研究、街並みの保存や世代間交流の活動拠点を作るための整備、調査、研究などを行っている。
小原さんは昨年、解体が決まった旧家の建物の図面を残そうとボランティアで図面を起こしに行った際、浮世絵についてまとめられた資料を引き取った。「木曽街道六十九次には宿場が多数描かれており、当時の庶民の生活ぶりを眺めることができる。人の営みや当時の建物の様子が分かるので、浮世絵を通して多くの人に知ってもらいたいと企画した」と話す。
木曽街道六十九次は、渓斎英泉と歌川広重が日本橋と京都を結ぶ中山道の宿場を描いた連作の風景画。同展の会場となる江戸時代初期の様式で建てられた主屋では、70点の浮世絵を展示し、複数の資料を基に小原さんが作成した解説文を添える。小原さんは「34『贄川(にえかわ)宿』は、この絵1枚で当時の旅籠屋(はたごや)の店先の様子が分かる。35『奈良井宿』は、手前に名産品のお六ぐしが描かれている。建物の屋根は、板ぶきの石置き屋根」と解説する。
小原さんは「今は写真があるが、脳裏に焼き付けてメモをして持ち帰り、それを技法に基づいて描いていて、人の表情、生活ぶり、建物の特徴をつかんでいるのがすごい。江戸時代にいる気持ちになって鑑賞してもらえたら」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。6月8日まで。