
東大阪市立楠根小学校で7月15日、移転する近畿大学病院の小児科テラスに設置するグラフィックフェンスのパーツを作るワークショップが開かれた。
グラフィックフェンスは、ひし形金網にオリジナルのチューブを取り付けることで絵や文字などを表現しアート作品として活用できる物で、近畿大学文芸学部(東大阪市小若江3)と東大阪市に工場を構えるひし形金網製造の「共和鋼業」(大阪市)が共同開発した。
同大学デザイン・クリエイティブ研究所顧問の岡本清文さんは、同大学病院小児科テラスの空間デザインを担当する。岡本さんは「病院は真っ白で日常生活と離れている。子どもにとって入院生活は治療の時間であるが学びの時期でもあるので、自然やアートなどの刺激の要素を入れていくことに意味がある。これまで共和鋼業と取り組んできたグラフィックフェンスであれば絵の要素を取り込めると提案した」と話す。
制作するのは、全長30メートルのグラフィックフェンス作品「フェンスの森」。デザインについて、岡本さんは「森のようにもとれるし、海の中のサンゴのようにもとれる、抽象的なものを意識した」と話す。「けがや病気になる可能性は誰にでもある。子どもたちがグラフィックフェンス制作に参加することで、病院の中に同じような世代の子どもたちがいるということを想像することも大切」と、東大阪市内の小・中学校と福祉施設、同大学付属幼稚園、小・中学校、高校、大学など10カ所で、7月1日から作品制作を始めた。
楠根小学校校長の馬場真一さんは「地域の工業を学ぶ授業で共和鋼業の工場を見学したことがある。私自身、過去に近大病院に入院した縁もあり、教育委員会から今回のプロジェクトの話を聞き、子どもたちが同世代の入院している子どもたちに憩いの場を作ることができたらいいのでは、と参加を決めた」と話す。
7月15日のワークショップには、工場や工業を学ぶ授業がある4年生2クラス65人が参加。用意した図面を確認しながら、2メートル×3メートルの金網にチューブを取り付ける作業を行った。参加した児童は「チューブを付けていくと木の模様になっていくのが面白い」「硬くて付けにくいけど、病気になっている人に元気になってほしいから頑張る」「入院している子どもを笑顔にしたい」などと話していた。
完成した作品パーツは、今年秋以降に同大学病院に設置する予定。