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司馬遼太郎記念館で「坂の上の雲」企画展 初公開の自筆原稿など53点

「坂の上の雲」自筆題字と文庫本新装版の装幀画

「坂の上の雲」自筆題字と文庫本新装版の装幀画

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 企画展「この時代に思い出したい『坂の上の雲』のメッセージ」が現在、司馬遼太郎記念館(東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860)で開催されている。

企画展会場の様子

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 1968(昭和43)年~1972(昭和47)年に産経新聞で連載された司馬遼太郎さんの小説「坂の上の雲」と、同作に登場する秋山好古・真之兄弟、正岡子規などに関連する資料を紹介する同展。

 同館の上村洋行館長は「混迷な時代がなかなか解消されず、失われた30年といわれる中、人々は自己中心的になりがちで、公と私の精神バランスがくずれつつあるように感じる。坂の上の雲に登場する明治時代の人は、健康的な形で公と私のバランスが取れていたと感じ、他者との関係、全体的なものへの目配せや思いというものを考えてみたいと思い企画した」と話す。初公開3点を含む53点の資料を展示する。

 展示ケース壁面では、同作から登場人物の行動や言動からメッセージ性を感じられる部分を引用し、下高原健二さんの挿絵とともに掲示。同作に関する資料では、司馬さんが書いた3通りの題字や、1999(平成11)年に刊行された文庫本新装版の装幀画、連載第54回「騎兵(一)」「あとがき(一)」自筆原稿、新聞1面全体を使った連載予告などが並ぶ。

 関連する資料では、秋山真之が米西戦争で観戦武官をしていた際の自筆報告書の複製、正岡子規墓誌銘の複製、児玉源太郎の自筆短冊、広瀬武夫の書簡などを展示する。「真之の緻密さや、子規さんの雰囲気が分かるようなものを展示で見てもらおうと選んだ」と上村館長。

 ホールでは、毎時0分から「司馬遼太郎が遺した言葉-日本における『公』と『私』の意識」、毎時30分から「司馬遼太郎は語る-日本人とは何か」を上映する。

 上村館長は「司馬作品の根底にあるテーマは、日本人とは何か、日本の国とは何か。そういうものを考えるために書いていると当人も言っている。この『坂の上の雲』からのメッセージを皆さんに見てもらうことによって、今のこの時代を考えてもらえたら」と話す。

 開館時間は10時~17時。月曜(祝日の場合翌日休館)、12月28日~1月5日休館。入館料は、一般=800円、中高生=400円、小学生=300円。来年5月10日まで。

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