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EXPO2025大阪ヘルスケアパビリオン リボーンチャレンジエリアに「MOBIO大阪」

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ナミテイの村尾耕一社長

 

 2025大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」内のリボーンチャレンジエリアで7月8日、「MOBIO大阪パビリオン展示 No/BORdER ~国境・垣根・時代・カベを越える技術展~」が始まった。実施主体は大阪産業局。

 リボーンチャレンジは、新技術開発に取り組む大阪府内中小企業やスタートアップの技術力や魅力を週替わりのテーマで国内外に発信するエリア。今回は「リボーンの実行でボーダーを越える」をコンセプトに、大阪府内のものづくり中小企業13社の製品・技術を紹介する。

ナミテイ株式会社

 くぎメーカーとして1945(昭和20)年に創業した「ナミテイ」(東大阪市西堤2)は、市場ニーズを先取りしながら事業革新を行い、現在は、要望に合わせて断面形状を加工した線材「異形線」製品を主力としている。2019年からは今までの鉄素材加工の技術を応用し、電気自動車やドローン、ロボットなど多様な分野での活用が期待される銅線コイルの開発に取り組んでいる。

 同展では、独自の加工技術から生まれた銅異形線「ウルトラデフォームドワイヤー」を展示。村尾耕一社長は「丸い線材だと隙間ができるため、銅の占める割合を上げる跳び箱状の異形線作りに取り組んでいる。1本の線材の中で断面の厚みや幅を自在に設計できる素材で、モーター内部の隙間を埋めることで性能向上・小型化を実現し、カーボンニュートラルに貢献できる」と話す。ブースでは、従来の銅線コイルと異形線の銅線コイルの銅の占める割合を見比べることができる。

 

下西技研工業株式会社

 メカトロ、磁気、熱の3つのテクノロジーを保有する構造部品・複合部品メーカー「下西技研工業」(島之内2)は、磁気式アタッチメントデバイス「スイッチングマグホルダー」を展示。電磁石は通常、電気が流れている間だけ磁石になるが、同社の「スイッチングマグホルダー」は、0.2秒通電すると磁石に変わり、その後は無通電でも吸着し続け、スイッチをオフにすると取り外しができる。工場で荷物を運ぶ無人搬送車やロボットハンド、ドローンなどに使われているという。

 下西哲史社長は「消費電力が少なく、一度通電した後は吸着力が続くので停電しても使うことができる。大きさは、20ミリ、30ミリ、50ミリの3種類。製品を出してから4年ほどたつが、初めて見たという人も多い」と話す。会場では来場者にスイッチのオンオフを体験してもらうほか、壁面や天井を歩行するスイッチングマグホルダーを組み込んだロボットのデモンストレーションを見学してもらう。

 

株式会社竹中製作所

 金属のさびを防ぐ独自開発の特殊防錆(ぼうせい)コーティング技術を有する「竹中製作所」(菱江6)は、鉄やアルミニウムなどさまざまな金属が月日を経過するにつれてさびて劣化する様子と、フッ素樹脂塗装「タケコート」で表面処理した金属、カーボンナノチューブを用いた衝撃にも強い「ナノテクト」でコーティングした金属の経過を並べ、さびの状態を比較し、防錆コーティングをすることで金属の寿命を延ばすことが分かる展示を用意している。

 現在は、従来のコーティング剤よりも環境低負荷で揮発性有機化合物が発生しない水性コーティング剤を開発しているという。興味を持ってもらいやすいよう、ブースに置く盾と矛のオブジェは腐食した物と「タケコート」「ナノテクト」を施した物を用意。RPG風の説明動画も用意した。

 

ハードロック工業株式会社

 日本古来の建築技法「くさび」の原理を用いて緩み止めナットを製造する「ハードロック工業」(川俣1)は、ホログラムを使った展示でくさびの構造を分かりやすく説明する。

 空飛ぶ車やドローン、月面探査機、航空機などさまざまな分野において、軽くて強く、さびないねじを世界中から求められているが、同社の緩まないねじはナットを2つ使うため用途が限定されてきた。現在、樹脂と炭素繊維を組み合わせた高強度複合樹脂ねじの研究開発に取り組んでいる。アルミ合金レベルの強度で重さは金属製ねじの5分の1。同社の技術を用いた緩まない樹脂ねじの実現を目指す。同展では、大きなねじを支える樹脂製ねじを公開している。

 

宇宙開発協同組合SOHLA

 小型人工衛星「まいど1号」の開発で知られる中小ものづくり企業で構成する「宇宙開発協同組合SOHLA」(荒本北1)は、開発中の月面跳躍移動ロボット「まいど2号」の試作機を展示。温度や放射線量など月の表面の状況を調査することを目的とする「まいど2号」には、温度差の大きい月面で跳躍するために形状記憶合金(SMA)を使っている。会場では、まいど2号に搭載する技術や、実際にジャンプする様子を公開している。資金調達や搭載するロケットが決まっていないなど課題があるが、2027年3月には完成したいとする。

 

田尻薄片製作所

 「田尻薄片製作所」(三ノ瀬3)が手がける「薄片」製作は、岩石の中の鉱物を調べるために地学で発達した技術で、硬い物をすり減らして薄くし、顕微鏡観察を可能にする技術。元は地学関係の研究機関の技術者だった田尻理恵さんは「地学では当たり前の技術だが、医療などほかの分野では知られていなかった。骨や尿路結石なども薄片を製作することで、構造ごとにピンポイントで化学分析できる」と話す。

 同社独自の技術により、硬度や含水率の異なる素材を薄片化することが可能で、骨と筋肉など硬さの違う昆虫や、これまで強度試験でしか確認できなかった工業製品に使う複合素材なども薄片化できる。会場では、歯や昆虫、巻き貝など、これまで薄くして見ることが難しかった物を展示し、実演も行う。

 

■ EXPO2025大阪ヘルスケアパビリオン リボーンチャレンジ

「MOBIO大阪パビリオン展示 No/BORdER~国境・垣根・時代・カベを越える技術展~

展示期間:2025年7月8日~7月14日

実施主体:大阪産業局

https://osaka2025.site/contents0708-0714/

 

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