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大阪・関西万博で「大阪ウィーク~夏~」 東大阪のものづくり製品展示

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 大阪府の魅力を発信する「大阪ウィーク~夏~」のイベントの一つ「地域の魅力発見ツアー ~大阪43市町村の見どころ~」が7月28日、2025大阪・関西万博会場内の「EXPOメッセ『WASSE』」で始まった。

「EXPOメッセ『WASSE』」会場入口

■デザインプロジェクト「HIGASHIOSAKA FACTORies」

 万博会期中に3回開催する「大阪ウィーク」に合わせ、大阪43市町村の観光や食、歴史・伝統文化、産業・技術などを、「みなはれ」「やりなはれ」「たべなはれ」の3つのゾーンとステージで紹介する参加・体験型イベント。東大阪市は、ものづくり企業とデザイナーの協業によるデザインプロジェクト「HIGASHIOSAKA FACTORies(東大阪ファクトリーズ)」から誕生した製品を展示する。

会場内の「HIGASHIOSAKA FACTORies」展示ブース

 「HIGASHIOSAKA FACTORies」は東大阪市が主体となり、多彩な技術を有する市内企業と実績豊富なデザイナーとの協業により、「ものづくりのまち東大阪」を国内外に広く発信することを目的としたプロジェクト。2017(平成29)年、付加価値の高い製品の創出、東大阪市のブランド価値向上、産業の活性化を目指して外部のプロジェクトディレクター・クリエーティブディレクターとの協議を始め、2019年に始まった1期目に4社、2022年からの2期目に3社とプロジェクトを始動し、7社の製品を世に送り出した。

プロジェクトディレクターの平川真紀さん(左から2番目)、クリエーティブディレクション・デザインの北川大輔さん(右から3番目)

 プロジェクトディレクターの平川真紀さんは「行政とデザイナーの取り組みは他市でもあるが、行政の事業は1年で終わることが多く、市の予算内で全てを賄うものが多い。このプロジェクトは2年単位で行っており、企業とデザイナーが個別契約を結び、行政の事業年度が終わっても継続できるのが特徴。東大阪市内の小中学校でも児童に取り組みを伝える教育事業をしており、未来につながる取り組みとしても評価され、2024年度のグッドデザイン賞を受賞した」と話す。

 今回展示する文殊(柏田西3)とデザイナーの小関隆一さんが手がけた、複数の袋が連結する巾着「DRAWSTRING TOTE BAG」もグッドデザイン賞を受賞した。同社は、インナーウエアブランド向けに丸編みニット生地の提供やOEM生産を行ってきたが、同プロジェクトで、これまでとは違う分野で初めてのオリジナルブランドに挑戦した。

「DRAWSTRING TOTE BAG」

 平川さんは「デザイナーと組むとBtoC製品になることが多いが、素材や企業の特性を生かし、デザイナーと協業してBtoB製品も作っている。東大阪で盛んな木綿、鋳物、伸線など、さまざまな素材を使った製品があり、プロジェクトとして展示会に出展することで、製品がものづくりのまち東大阪を語ってくれる」と話す。

 ネットフェンスや落石防止などに使われるひし形金網を東大阪の工場で製造する共和鋼業(大阪市)は、これまでも自社の金網を使った新しい製品作りに取り組み、同プロジェクトでは、デザイナーの倉本仁さんとモジュール式ベンチ「BENCH」を開発した。鋳造品メーカーの北勢工業(金物町)と田渕智也さんは、鋳造の特性を生かした街路樹支柱「METAL TREE SUPORT」を展示する。

「BENCH」

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「METAL TREE SUPORT」

  会場では、老舗電線メーカーの大原電線(川俣1)と鈴木元さんが開発した延長コード「EXTENSION CORD」、プラスチック製品を東大阪で製造する甲子化学工業(大阪市東成区)と熊野亘さんは、廃棄貝殻と廃プラスチックから開発したエコ素材を使ったアウトドア用テーブルウエア「TABLEWARE」、半導体や金属素材の打ち抜き加工を手がけるサンコー技研(玉串町3)と今井裕平さんは、ノートパソコンの表面をホワイトボード化するMac向け金属製スキンシール「PC ACCESSORIES」を展示する。

「EXTENSION CORD」

「TABLEWARE」

「PC ACCESSORIES」

 同プロジェクトの製品を一般向けに展示するのは今回が初めて。クリエーティブディレクションとデザインを手がける北川大輔さんは「プロジェクト名には、きっかけや因子を表す『FACTOR』の文字が含まれている。このプロジェクトがきっかけになり、このプラットフォームが一番星になってくれたら」と期待を込める。

■大阪製ブランド

 大阪府商工労働部のブースでは、大阪府内のものづくり中小企業の優れた技術を活用した製品を大阪府知事が認定する「大阪製ブランド」の製品を展示。これまでに認定した製品から26社28製品のベストプロダクトを展示する。

大阪製ブランド製品展示エリア

 東大阪市内の企業では、プラスチック成形品メーカーの三優ライト工業(岸田堂南町)の知育玩具「Poco a pocoにじいろシリーズ」、双葉塗装(高井田中3)のキャニスター「PA Bottle」、製造業のプロジェクトマネジメントを手がけるMACHICOCO(川俣本町)のお香立て「ゆらり 1/f Incense Holder」の3製品を展示している。

 「Poco a pocoにじいろシリーズ」は、本来廃棄されてしまうもみ殻を半分以上含むバイオプラスチック素材の知育玩具で、成形や着色が難しいとされるもみ殻を本業で培った技術力で加工した製品。色を練り込んであるため色落ちしにくく、木製玩具と違ってアルコール消毒が可能。飲み込まないサイズで角は丸くし、食品衛生法にのっとった着色を行うなど、玩具のST基準とCEマーク基準をクリアしている。

「Poco a pocoにじいろシリーズ」

  「PA Bottle」は、産業用機械などに焼き付け塗装行う双葉塗装がプロダクトデザイナーの湯浅宏之さんと開発した自社商品。質感にこだわり、塗装職人が一つずつガラスボトルに塗装を施している。

 「PA Bottle」

 「ゆらり 1/f Incense Holder」は、金型製作に使うコイルスプリングにデザインを加え「お香立て」とした製品で、煙の美しい揺らぎを実現するため、バネの太さや隙間の広さをミリ単位で検証した。煙を見て楽しむ体験を印象深くするため、煙とのコントラストが明確な色を選んでいる。全ての部品が分解できるよう設計しているため、手入れもしやすい。

「ゆらり 1/f Incense Holder」

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■大阪ウィーク~夏~ 「地域の魅力発見ツアー ~大阪43市町村の見どころ~」
展示期間:2025年7月28日~7月30日
会場:EXPOメッセ「WASSE」
EXPO2025 大阪ウィーク~春・夏・秋~
HIGASHIOSAKA FACTORies
大阪製ブランド

 

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