万博出展用ドーム試作時の様子(写真提供=OSAKA町工場EXPO)
2025大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」内、リボーンチャレンジエリアで8月12日、「Series A;セレクション~輝く未来社会の創り手ここにあり~」が始まった。実施主体は大阪商工会議所。
リボーンチャレンジは、新技術開発に取り組む大阪府内中小企業やスタートアップの技術力や魅力を週替わりのテーマで国内外に発信するエリア。今回は「暮らしの未来を体感する」をテーマに「Living」「Working」「Playing」の3つのエリアに9社が出展する。
大阪ヘルスケアパビリオン リボーンチャレンジエリア
■OSAKA町工場EXPO
「Working」エリアに出展する「OSAKA町工場EXPO」は2020年11月、新型コロナウイルス感染拡大に伴い工場見学や展示会が減少する中、「ありのままの工場や経営者の思いを伝えられるDX戦略を」と、製造業を中心とする中小企業の営業支援を手がけるMP-Strategy(東大阪市花園東町2)が企画したオンライン展示会。工場のバーチャルツアーと経営者がオンラインでプレゼンを行うプログラムを展開し、初年度は7社が出展。現在は24社の工場を360度バーチャルで視聴することができる。
関連記事:東大阪の町工場見学をバーチャルで 「OSAKA町工場EXPO」 新規受注獲得目指す
2021年には新たなチャレンジとして「TEAM EXPO共創チャレンジ」に参画。大阪・関西万博を目的に来日する外国人1000人を工場見学に呼び込むことを目標に、「OSAKA町工場EXPO」英語版の作成や2カ月に1度開く勉強会、イベントなどに取り組んできたが、昨年、大阪ヘルスケアパビリオン リボーンチャレンジへの出展が採択され、「万博に出展する1週間で1万人に見てもらおう」と出展を決めた。
元はVRゴーグルを装着して映像を視聴する企画だったが、一度に複数人に映像を視聴してもらうため、段ボール製の円形ドームを製作。既製品のドームを段ボールメーカーのアラカワ紙業(荒川3)と金物製作の松下工作所(渋川町1)がカスタマイズし、直径約3メートル、高さ約2.5メートルのドームを製作した。外から光が入らないよう、3Dプリンターで継ぎ目を覆うパーツを製作して取り付け、円形ドームの中では、加工した映像データを3Dプロジェクターで投影している。
段ボール製のドーム(写真提供=OSAKA町工場EXPO)
松下工作所で行った最終の映像確認の様子(8月8日撮影)
映像は2分程度のもので、世界基準のものづくり、高い技術力、外国人や障害のある人などさまざまな人が活躍する製造現場など、大阪の町工場の魅力を発信。MP-Strategy代表の目黒充明さんは「大阪の町工場には、多様性、多様な価値観を受け入れる文化が根付いている。大阪のものづくりのように、人、技術、多様性がつながり、社会を良くすることを目指すことで『いのち輝く未来社会』が実現するのでは」と話す。
リボーンチャレンジエリアでの出展の様子(8月12日撮影)
ドームには、動画を視聴した人が大阪のものづくり企業に向けたメッセージを書いた付箋を貼り付けている。目黒さんは「頂いたメッセージは、これからいのち輝く未来を作っていく糧にしたい」と意気込む。
■津田工業
リボーンチャレンジエリア「津田工業」ブース
同じエリアには、東大阪市内にも拠点を構える津田工業(埼玉県滑川町)が出展。真空蒸着をベースとした加飾技術を有し、合成樹脂、ガラス、軟質材の表面加工を手がけている。SDGsの達成に取り組んでいる同社では、塗料とプラスチックを分別してリサイクルできる容器や、竹を使って歌舞伎を表現したコースター、サトウキビやトウモロコシなど自然由来のバイオマス塗料の開発など、環境、技術、和のデザインを融合した製品を展示している。
(上段)可燃ごみを焼却した後に残る灰を再利用した製品。中央=加飾前、右=加飾後
(下段)左=塗料とプラスチックを分別できる製品 右=植物由来の素材と塗料を使うタンブラー
真空蒸着技術を活用し、皮革表面に金属を付着させた「金のランドセル」「金の野球グローブ」「銀のボクシンググローブ」は会場で注目を集め、ランドセルを背負って写真を撮る児童の姿も多く見られた。