大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)1階展示コーナーと国際児童文学館(同)で現在、企画展示「魅せます!紙芝居展」が開かれている。
今秋、街頭紙芝居の資料展示と実演イベントを行った国際児童文学館。今回は、街頭紙芝居の人気に目を付け、1930年代からさまざまな目的のために大量に刷って世に送り出された印刷紙芝居の歴史をたどる。
同館によると、印刷紙芝居の始まりはキリスト教の教えを広めるために日曜学校を開いていた今井よねで、1933(昭和8)年に紙芝居刊行会を設立し、伝道を目的とした「福音紙芝居」を発行。その後、幼児向けの本や雑誌を出版していた高橋五山が幼児教育を目的とする「幼稚園紙芝居」や、仏教の教えを伝える「仏教紙芝居」などを作った。
1937(昭和12)年に日中戦争が始まると、紙芝居は国策を宣伝するメディアとして利用され、大手レコード会社や新聞社、教育紙芝居を制作していた人たちも国策紙芝居を手掛けるようになるが、国際児童文学館室長の山田愛望さんは「国策ばかりクローズアップされるが、この頃にも童話や偉人伝などの紙芝居も数多く制作されている」と解説する。
戦後は、宮沢賢治や小川未明、アンデルセンなど名作紙芝居が出版され、紙芝居画家では後に童画家となった岩崎ちひろの名前も見られる。占領下にあった日本では民主化が推進され、民主主義を普及するための教材としても紙芝居が活用された。
同展では、その後誕生したテレビや漫画の人気作品を原作にする紙芝居や小学校の教材としての紙芝居、日本発祥の紙芝居の文化が海外でも評価されている現代までを、63点の資料と関連図書で紹介する。
同展について、山田さんは「同じ国策紙芝居でも戦前と戦後でまったく違う。印刷紙芝居の歴史を通して見られるのが見どころ」と話す。
開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日、国際児童文学館は17時まで)。月曜、12月12日休館。入館無料。12月28日まで。