大阪大学は4月20日、クリアファイルに取り付けてフルフェースシールドとして使うことができるフレームの量産化と医療機関への無償配布を実施するため、クラウドファンディングを開始した。
医療物資の備蓄が不足する中、新型コロナウイルス感染症の診察や治療にあたる医療従事者を飛沫(ひまつ)や接触による感染から守ろうと、大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授らは、眼鏡製造販売会社のシャルマン(鯖江市)と協力し、身近にあるクリアファイルを活用したフルフェースシールドを開発。クリアファイルに取り付けるフレーム部分は3Dプリンターで製作可能で、4月3日には3Dデータをウェブ上で無料公開した。
公開したデータを元に3Dプリンターで出力したフレーム作りの活動は広まってきているが、1つのフレームを作るのに約2時間を要するため、医療機器開発の分野で連携協定を結ぶ東大阪市に量産の協力を要請。市は、市医工連携研究会の登録企業や、金型設計から製造までできる企業に呼び掛け、量産体制の準備を進めてきた。
4月20日には、5月初旬からの大量生産開始と医療機関への順次配布を実施するため、業務提携を行うクラウドファンディングサービスのREADY FORで500万円を目標にしたクラウドファンディングを開始。支援金は、量産用の金型製作、フレーム製造費、梱包(こんぽう)・運送費などに充てる。21日18時30分時点で、1,000万円を超える寄付が集まっている。募集は6月12日23時まで。
今後は、4月中に金型を製作し、5月上旬から約2カ月間で10万個のフレーム量産を目指す。各都道府県の感染症指定医療機関をはじめとする感染症患者の受け入れ数の多い医療機関を優先的に、随時、必要数を届けるという。製造は、市医工連携研究会に登録し、3Dプリンターでの製造にも協力した生産拠点を東大阪市内に構える甲子化学工業(東大阪市菱江2)と工販(神戸市)が協力する。
必要があれば6月以降も製造を継続する予定。