大阪府立中央図書館・国際児童文学館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)で現在、漫画家、アニメーター、街頭紙芝居作家として活躍した酒井七馬の業績を振り返る資料展示「関西マンガ界の伝説 酒井七馬とその時代」が開催されている。
1905(明治38)年、大阪生まれの酒井七馬氏は、大正期の新聞・雑誌の風刺漫画、黎明期のアニメーション、戦中の軍事慰問漫画、戦後の赤本や街頭紙芝居と広く作品を残す。手塚治虫さんをデビューさせるきっかけを作った人物として、知る人ぞ知る存在である酒井氏の仕事を再評価する動きがあることを受け、同館では資料を発掘し、生誕110年の節目にあたり同展を企画した。
会場には、1923(大正12)年ごろから関わった漫画雑誌「大阪パック」や、1946(昭和21)年に創刊した雑誌「まんがマン」、まだ大阪大学の医学生だった手塚治虫さんを執筆者に誘って出版した「ハローマンガ」、酒井氏が原作・構成を担当し、手塚さんが作画を担当した「新宝島」など、146点を展示。酒井氏を育んだ漫画文化として、明治から昭和にかけて登場した児童書など大阪発の出版文化も紹介する。大阪に縁のある漫画家に関連するものやアニメ史、手塚治虫さん関連書籍など、貸し出し可能な資料450点も並べる。
「酒井の創作活動のすべてを回顧する展示は初めてで、貴重な展示。あまり知られていないアニメーターとしての仕事も紹介する。大阪の漫画文化の歴史を楽しんでもらいたい」と同館の園田かおりさん。
12月12日13時からは、酒井氏が佐久良五郎の名で制作した街頭紙芝居の実演、14時からは酒井氏の伝記も手掛けた京都精華大学客員教授・中野晴行さんの講演「レジェンド 酒井七馬と昭和の大阪まんが」を開く。参加無料。講演会は要事前申し込み。
開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。毎週月曜・第2木曜休館。12月20日まで。