東大阪市は3月5日、ギネス世界記録の「世界最高齢総務部員」に昨年11月に認定されたねじ専門商社「サンコーインダストリー」(大阪市西区)総務部部長付課長の玉置泰子さんに市長賞詞を贈った。
玉置さんは1930(昭和5)年5月15日生まれ。商業高校を卒業していた玉置さんは25歳で三興鋲螺(現・サンコーインダストリー)に入社し、64年にわたり、経理や庶務の業務を担う。現・会長の2代目社長・奥山泰弘さんより11歳年上で勤続年数も会長より長いことから、同社の歴史を知る語り部として新人研修の担当もしている。日々の業務ではエクセルを駆使し、表計算やグラフの作成、データ分析などを行っている。
同社では定年はなく、役職定年以降はサンコーホールディングスに転籍し、サンコーインダストリーへ出向して働き続ける制度があるほか、育児と仕事、介護と仕事を両立しやすい制度を確立。男性の育児休業取得率は全国平均の7.48%に対して同社は47.5%に上るなど、全従業員にとって働きやすい環境を整備している。
東大阪市では、大規模な世界大会での活躍や市の施策に大きく貢献をした人物に市長賞詞を贈呈。過去には、ラグビーワールドカップイングランド大会で活躍したトンプソンルークさんや、2017年世界陸上ロンドン大会男子4×100メートルリレーで銅メダル獲得に貢献した多田修平選手らに交付。東大阪市内に物流センターと営業所を構える同社の玉置さんには「生涯現役で業務に励んでこられた姿は市民に元気と深い感動を与え勤労意欲の向上に大きく寄与された」として、賞詞を贈った。
野田市長から元気の秘訣を聞かれた玉置さんは「健康は規則正しいことが一番で、出勤するまでの時間が一番大事。5時半に起床してヨガを取り入れた自分流の体操を30分し、お経を3回唱える。妹が健康食を作ってくれるのでそれを食べて出勤、というのを何十年もしている」と話し、「通勤は今でもBMW。車じゃなくて、バス、メトロ、ウオークで通っている」と場を沸かせる。
玉置さんは現在も9時~17時までのフルタイムで勤務し、「風邪で休んだことはない」という。休みの日にはSNSを活用してグルメ情報を収集し、食べ歩きやショッピングを楽しんでいる。「世界記録と言われても自分では意識しておらず、必ず考えていることは、今日1日楽しく生きて明日につなぐ、明日頑張れば未来につながるので何かあっても後悔しない。高齢者の方も、明日、未来と考えれば生きがいのある暮らしができる」と笑顔を見せる。
同社で長く働くことができた理由については「製造でも販売でもないが、経営者と同じ目線でものを見る癖があり、トレンドなどをチェックしている。ねじは使われる先がたくさんあるのが楽しみで、取り扱い点数をどんどん増やしてナンバーワンになろうとしてきた会社で働く面白さがある。社長を含め、社員全員がフレンドリーで、相手のことを考えてくれるので長続きしている。誰かの役に立っていると思えることが続けられた理由だと思う」とほほ笑む。
後輩や若い人に対しては「使われている、やらされていると思うと摩擦が起きる。自分が頑張って、自分を作り上げたら居場所ができ、やりがいが感じられる。自分は主人公だと思って働いてほしい」とアドバイスを送る。