大阪府立中央図書館 国際児童文学館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)が現在、戦後に演じられていた街頭紙芝居の原画を展示している。
同館によると、街頭紙芝居は昭和初期から戦争による中断を経て昭和30年代中ごろまで盛んに行われ、最盛期の1949(昭和24)年には全国で約5万人もの紙芝居師がいたという。1947(昭和22)年に紙芝居の絵元として塩崎源一郎さんが設立した「三邑会(さんゆうかい)」は、紙芝居画家や文案者に作品を依頼し、それを紙芝居師に貸し出す業務を行っており、塩崎さんは1980年代からは紙芝居の保存と紙芝居師の育成に注力。1995(平成7)年に「塩崎おとぎ紙芝居博物館」(大阪市西成区)を創設し、三邑会のメンバーは現在も原画の管理などを行っている。大阪では現在、三邑会を拠点に14人の街頭紙芝居師が活動しているという。
同館では、塩崎さんから寄贈を受けた160タイトル約4000巻の紙芝居原画や複製画を収蔵しており、原画はすべて手描きの一点物だという。同館では絵の面をデジタル化し、ウェブサイトで公開している。
エントランスでは、手塚治虫との共著で「新宝島」を出版した漫画家の酒井七馬が左久良五郎のペンネームで描いた「宇宙少年」の原画や日本画を展示。展示室では、漫画家の小寺鳩甫(こでらきゅうほ)が熱田十茶(あったとさ)の名前で描いた「孫悟空」や、洋画家の武部本一郎がうどのたつおの名で描いた「水星の使者」、時代物の絵に優れたものがあったとされる、くつなつとむの「犬神村」などを展示する。
「どんぐり横丁に集まれ」は、三邑会が制作した紙芝居の傑作の一つといわれるもの。文・絵ともに手掛けた佐渡正士良は、塩崎さんから日本一の紙芝居画家と称されたという。「風神雷神」は、いじめられっ子だった少年の成長物語で、日本画家の森茂樹が相馬一平の名で文章と絵を手掛けた。
11月6日(14時~15時)は、現役の紙芝居師が実演する街頭紙芝居イベント「むかしの紙芝居を楽しもう!」を開催する。参加無料、定員は先着40人。当日13時30分から整理券を配布する。
同館の樋爪絵里さんは「普段は地下書庫で保管しているものなので、この展示で原画がもつ迫力を見てほしい。戦前戦後の児童文化についても知ってもらえたら」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時~17時。月曜、10月14日休館。展示は11月7日まで。