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東大阪・司馬遼太郎記念館で「胡蝶の夢」企画展 近代医学の開拓者に焦点

企画展の解説をする上村洋行館長

企画展の解説をする上村洋行館長

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 司馬遼太郎記念館(東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860)で11月2日、企画展「『胡蝶の夢』―近代医学を拓(ひら)いたひとびと」が始まった。

司馬さんの自筆色紙や「胡蝶の夢」の参考資料

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 「胡蝶の夢」は、1976(昭和51)年11月11日から1979(昭和54)年1月24日にかけ、朝日新聞で連載された長編小説で、近代医学の黎明期を通して幕末を見た作品。日本で初めて体系的に医学を教えたオランダの軍医・ポンペに師事した幕府の奥医師の松本良順、良順に師事した天才的語学力を持つ島倉伊之助(司馬凌海)、蘭方医の関寛斎、適塾を開いた緒方洪庵らが登場する作品で、江戸の身分社会から、医学を通して入ってきた市民社会の雰囲気によりどう変化していくか、医学の芽生えができた時代を描いた作品。

 同館の上村洋行館長は「貴賎貧富問わず病人を診たポンペと、新型コロナウイルスの拡大で昼夜問わず治療に当たっていた医療従事者の姿が重なった」と、同展を企画。初公開9点を含む58点の資料を展示する。

 展示では、「胡蝶の夢」の引用文とともに登場人物の関係を紹介し、日本における蘭学の流れをパネルにまとめた。ガラスケースには、司馬さんが登場人物ごとに論文や写真などの資料を入れていた封筒、司馬さんの自筆原稿、同作の冒頭で伊之助が見て驚いた場面が描かれている世界地図「新訂坤輿(こんよ)略全図」、緒方洪庵が記したコレラの治療指針書「虎狼痢治準」複製版などが並ぶ。

 展示室奥の壁面には、「司馬作品にみる近代医学を拓いたひとびと」と題し、「街道をゆく」「花神」「胡蝶の夢」などの作品に登場する人物25人を紹介する。

 上村館長は「幕末にオランダを通じてヨーロッパの市民社会が及ぼした影響について、医学の面から考えてもらいたい。過去から何かを読み取って、これからを考えるきっかけになれば」と話す。

 開館時間は10時~17時。月曜(祝日の場合はその翌日)、12月28日~1月4日休館。4月26日~5月8日は休まず開館。入館料は、大人=500円、中・高校生=300円、小学生=200円。来年5月15日まで。

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