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東大阪の大原電線が「グッドデザイン・ベスト100」 従業員4人、初の自社製品で

左から、大原康行専務、大原豊一社長、野田義和市長

左から、大原康行専務、大原豊一社長、野田義和市長

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 電線の製造を専門とする大原電線(東大阪市川俣1)の延長コードが2021年のグッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100を受賞した。11月29日、同社の大原豊一社長らが野田義和東大阪市長に喜びの声を届けた。

「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた大原電線の延長コード

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 大原電線は1968(昭和43)年、大原電線製造所として設立。50年以上にわたり電線を製造する町工場で、現在の従業員は4人。大手家電メーカーや、最新の設備を備えた建築などに供給している。

 東大阪市では、市内企業の多彩な技術を国内外に広く発信することを目的に2018(平成30)年度から、部品や部材を製造する企業と工業デザイナーをマッチングする自社製品開発支援事業「HIGASHIOSAKA FACTORies(東大阪ファクトリーズ)」を行っている。第1期では、同社を含む4社とデザイナー4人がそれぞれペアとなり、製品作りに取り組んだ。

 2021年度のグッドデザイン賞は、過去最多となる5835件の審査対象から1608件の受賞を決定。同社の延長コードは、一切の無駄を廃したシンプルなデザインで、高電圧に耐え得るケーブルを使用することで、家庭用から店舗、建設現場まで、さまざまな用途で対応できることや、電極と本体を一体成形し、耐久性や防塵性を高めている点などが評価され、受賞対象の中で特に高い評価を得た「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた。

 大原康行専務は「普段電線を作っているがどこに使われているのかも分からず、面白みがない。そんな時に市から東大阪ファクトリーズに参加してみないかと案内がきて、これだと思った。デザイナーの鈴木元さんを紹介していただき、自分たちも最終製品を作るのが初めてなので試行錯誤しながら開発した」と振り返る。

 本田技研工業、コクヨ、パナソニック、ソニーなどと並び、「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれ、大原豊一社長は「会社をやめようと思ったこともあるが続けてきてよかった」、大原専務は「今まで町工場で働いてきて、こんな華やかな賞をもらったことがなかったのでうれしい。今までの苦労が報われた」と笑顔を見せる。商品は黒のほか、グレー、緑、えんじの4色を展開する予定で、来年4月の商品化を目指す。

 報告を受けた野田市長は「東大阪のものづくりは、部品など優れたものは多いが完成品は少ないので、本当にうれしい。第2弾、第3弾も期待している」と話す。

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