東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で2月19日、「桃の節句展」が始まった。
地域の家庭から「この建物で展示してほしい」と寄贈されたひな飾りを飾る同展。2017(平成29)年に始まり、今では「今年はまだ?」と問い合わせがあるなど、初春の風物詩として地域の人が楽しみにするイベントになっている。
今年は、約100年前に作られたという親王飾りや二段飾り、七段飾り、同館のイベント参加者から新たに寄贈された物を合わせ、11組のひな飾りを展示。会場には、ひな人形の歴史や関東と関西におけるおひなさまとお内裏さまの左右の置き方の違い、桜の木とタチバナの木、桃の節句のごちそうなど、桃の節句とひな人形にまつわる解説パネルを設置する。
奥座敷の棲鶴楼には、創作人形作家の稲脇秀子さんの創作ひな人形を展示。稲脇さんは約45年前、「夫が空けたウイスキーの瓶で何かできないか」と紙粘土を貼り付けて作り始めたのをきっかけに、独学で人形の制作を始めた。1982(昭和57)年には、大阪府羽曳野市にある自宅の地下を改装し、アトリエ「House Gallery INAWAKI」を設立して人形教室を開講。以降、教室で教えるほか、ギャラリーやホテルでの展覧会などに作品を出品している。同展では、人形のほか装飾品から小物まで、一つ一つ手作りした14組68体を展示する。
同館で「おりがみ展」を開催した際に作品を展示した坂上慧ミ子(えみこ)さんは、折り紙で作ったひな人形の色紙などで花を添える。会場内には、扇や冠などを装着して七段飾りの前で撮影ができるフォトスポットを設ける。
同館学芸員の道岡陸哉さんは「今回は2人の先生が展示に協力をしてくれて華やかになった。稲脇先生の人形は優しい顔をしているので、それぞれの人形の表情も見てほしい」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。3月6日まで。