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農業参入支援のスパイスキューブ、東大阪の植物工場前にサラダの自販機設置

スパイスキューブの須貝翼社長

スパイスキューブの須貝翼社長

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 植物工場の事業化支援、農業装置の設計開発を手がけるスパイスキューブ(大阪市)が5月中旬から、自社植物工場「スパイスキューブファーム」(東大阪市東山町)前の自動販売機でサラダパックを販売している。

植物工場「スパイスキューブファーム」内の様子

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 会社員時代にトマト農家に弟子入りするなど、もともと農業に関心があったという須貝翼社長。農業に携わる中で、「農業を取り巻く環境は悪い上に利益が少なく、自然災害にも左右される。台風が来てハウスがめちゃめちゃになったことが、農家に負荷がかかりすぎている部分を改善したいと考える機会になった」という。

 以前勤めていた電設資材製造会社が新規事業として植物工場事業に参入し、その担当となった須貝社長。「従来の植物工場は規模が大きく、数億円の投資が必要で大失敗した」というが、大阪は特に食料自給率が低く、就労人口が減少する農業の課題を解決したいと、植物工場の技術で中小企業の農業参入を支援する同社を2018(平成30)年に設立した。

 「植物工場は農地が要らず、畳1畳分のスペースからできる」といい、遊休施設や空き部屋の再活用ができる。完全室内で、LEDと水、空調で作るため自然災害に左右されず、衛生管理を徹底し害虫もいないので、できた野菜は洗わずにそのまま使うことができる。「栄養成分をコントロールすることができるので付加価値のある野菜を栽培することができる。農業のような重労働はなく、高齢者や福祉事業所での生産も可能」と須貝社長。

 自身の経験から「農業の難しさはソフト」といい、同社では、小規模植物工場の設計、農業人材の派遣、販路開拓支援などのサービスを行う。2年前からは装置の設計開発も行い、「持続可能な経営を目指す会社や新規事業を検討している会社に、選択肢の一つとして農業を提案している」という。昨年、東大阪市水走に植物工場「アグリテックラボ」を作って近隣の飲食店や個人向けに野菜の販売を始め、今年4月、コインランドリーをリノベーションした植物工場「スパイスキューブファーム」を立ち上げた。

 同工場で作った野菜を地域の人に食べて価値を分かってもらいたいと、5月中旬には工場前に自動販売機を設置。設置後は近隣住民が関心を持って購入をしたり、自動販売機を見て植物工場を始めたいという相談もあったという。自動販売機で販売するサラダカップには、クリスプレタス、レッドレタス、ケール、ソレル、アマランサス、カラシナの6種がバランスよく入っている。内容量は30グラム。価格は300円。

 須貝社長は「都市部の狭小地にも設置できるので、運搬距離を短縮しCO2排出抑制にも貢献できる。企業価値の向上に貢献したい」と意気込む。

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