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「プラス」の天然素材使う歯ブラシ商品に「大阪製ブランド」認定 ブナの端材、馬毛使う

(左から)職人の西本隆子さん、中山正三社長、村中克さん

(左から)職人の西本隆子さん、中山正三社長、村中克さん

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 ブラシ加工を手がける「プラス」(東大阪市衣摺2)が製造販売する天然素材を使った歯ブラシ「turalist(チュラリスト)」が2022年度大阪製ブランドに認定された。

西本さんが手作業で植毛する

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 大阪製ブランドは、大阪府内のものづくり中小企業の優れた製品を大阪府知事が認定する制度。

 同商品を開発した村中克さんは、射出成形によるプラスチック加工を行う新進化学(同)の社長で、歯ブラシやヘアブラシなどの生活雑貨や化粧品容器、機械部品などを手がけてきたが、「誇りを持って仕事をしているが、プラスチックが悪とされる昨今、何かアクションを起こさなければと思った」と話す。海外には柄(え)が竹でできている歯ブラシがあったが、ブラシにプラスチックを使っていたため、毛の部分にもプラスチックを使わない製品を作ろうと考えたという。

 「柄の成形のノウハウはあったが天然毛を植える技術はなく、数社に相談したがすべて断られた」と村中さん。以前から取引のあった企業から廃業すると相談があり、その企業が天然毛を植毛する機械と職人を擁していたことから、共にプラスを立ち上げることにしたという。

 柄には竹を使う予定で進めていたが、知人の家具職人からイスの製造工程で出るブナの木の端材を生かしたいと提案があった。「竹はカビやすくザラザラするが、ブナはザラつきがない」と、ブナを採用し、毛の部分は馬毛を選んだ。

 「天然毛は太さや曲がり具合が違うなど個体差があり、自動で植えることはできない」と村中さん。植毛職人として35年、ブラシ加工業に従事する西本隆子さんが手作業で行う。手作業のため、生産できるのは1カ月150本程度という。

 「天然にこだわりたいから柄のアクリルコーティングはしたくない」(村中さん)と、食材にも使われるエゴマ油を3度塗り、耐水性と防腐効果を高める。ヘッド部分をコンパクトにするには木を薄くする必要があるが、薄くしすぎると割れてしまうため、毛を斜めにカットし、奥まで磨きやすいよう工夫した。天然毛はプラスチックのブラシと違い長持ちするため、約半年使えるという。柄の部分はイスの端材、ブラシは食肉用の馬や豚の副産物で、100%天然素材かつアップサイクル製品という点が評価され、ブランド認定された。

 昨年1月から販売を始め、春からは環境やSDGsをテーマにしたイベントに出展。環境意識の高い30代~40代の女性の購入に始まり、最近では60代~70代の購入者も増えているという。イベント会場と自社ECサイトで販売をしており、東大阪市のふるさと納税の返礼品にも選ばれている。

 「付加価値を付けないと安い海外製に勝てない」と、昨年9月からはメンテナンスサービスを開始。製品を送ってもらい、殺菌、消毒、エゴマ油を塗り直し、約2週間後に送り返す。「メンテナンスは1回が限度だが、メンテナンスサービスがあるからという理由で購入率が2割ほど上がった」という。

 村中さんは「今後、学生のエシカル団体とのコラボなどもしていきたい」と意欲を見せる。

 毛の硬さは4種類で、1本2,200円。メンテナンスサービスは1,100円(送料別)。

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