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大阪府立中央図書館で「田辺聖子と花」企画展 牧野富太郎監修の庭の資料も

「まいにち ばらいろ」と書いた田辺聖子さんの色紙

「まいにち ばらいろ」と書いた田辺聖子さんの色紙

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 企画展「まいにちばらいろ 田辺聖子と花と」が現在、大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)1階展示コーナーで開かれている。

花や花の名前をタイトルにした作品を紹介

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 田辺さんと植物をテーマにした同展。大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館学芸員の住友元美さんは「田辺さんは色紙を求められた際に『まいにち ばらいろ』というフレーズをよく書いていた。田辺さんの陽の部分であり、花の付いたタイトルの作品も多いので、梅雨の季節を明るくしようと植物をテーマに企画した」と話す。

 田辺さん初出版の単行本のタイトルは「花狩」、第26回女流文学賞受賞作「花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女」。花の名前が付いているものは、「週末の鬱金香(チューリップ)」に収録されている短編小説の「夜の香雪蘭(フリージア)」「篝火草(シクラメン)の窓」など、多数ある。「なぜこの花を選んだのだろう、と気にしながら読んでもらうと面白いのでは」と住友さん。ガラスケースでは、花や花の名前の付いた作品の単行本や文庫本、「まいにち ばらいろ」のフレーズが書かれた色紙など、20点の資料を展示する。

 パネルでは、1945(昭和20)年1月から学徒勤労動員のため軍需工場で寮生活をしていた田辺さんが、4カ月ぶりに樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大学)に行った日に、「うっそうと樹が茂っていて美しい。森の中に校舎があるようだ。…私はこんな美しい校舎で学んでいた生徒なのだ。」と日記の一節を紹介する。

 1918(大正7)年の樟蔭高等女学校(現・樟蔭中学校・高等学校)開校時には広さ1300坪の前庭があり、当時、東京理科大学講師で植物学者の牧野富太郎の監修・指導により、300種類以上の植物が植えられた。1944(昭和19)年に入学した田辺さんの在学時には、1927(昭和2)年に建設された記念館や、貯水槽、防空壕などがあり植物園は縮小されているが、「田辺さんの資料には、樟蔭は緑の多い美しい学園だったという内容の文章がよく出てくる」と住友さん。開校時と田辺さん在学時の庭の様子を鳥瞰図や植物分布図、昭和初期に撮影された全景写真などを用い、パネルで紹介する。

 住友さんは「東大阪に牧野さんが監修した庭がかつてあり、そこに田辺聖子が通っていたことや、戦時下でも夢を持っていたことを後の活躍と共に知ってほしい」と話す。

 6月29日には、大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館(菱屋西4)で開催中の企画展「田辺聖子の愛蔵品」を住友さんの解説で見学するツアーを開催。参加無料。先着20人。申し込みは大阪府行政オンラインシステムと大阪府立中央図書館2階カウンターで6月18日17時まで受け付ける。

 開館時間は9時~19時(土曜・日曜は17時まで)。6月25日まで。

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