農家を交えた食イベント「農食cafe vol.1」が7月8日、石切の青果店「MiKAN屋」(東大阪市中石切町1)で開かれた。
山崎雄司さんと大坪がくさんの共同経営で2019年に移動販売店としてオープンし、昨年10月に店舗を構えた「MiKAN屋」。農家から直接仕入れる有機野菜や無農薬野菜、農家から紹介された乾物や海藻類、店内で調理する総菜などを販売する。昨年12月からは水曜から土曜限定でランチの提供を始めた。
同店ではこれまでに、東大阪市内在住の農家の瀬利由貴乃さんを囲むランチ会を開催。瀬利さんは幼い頃から植物が好きで、大学2年で沖永良部島の菊農家に農業体験に行き、島で取れた完熟バナナを食べた時に「できた所で食べるからおいしい。地産地消はすてきなこと。出身の大阪で農業をやろう」と決めたという。京都外国語大学に通っていた瀬利さんは、東大阪市の農家で農業実習を受けた後、フランスに留学して有機農家の下で農業を学び、就農した。
同店の大坪さんは「無農薬野菜を好む人は食に対する意識が高く、価値観を共有できる人が少ないと聞くが、瀬利さんを囲むランチ会は価値観の合う人同士で盛り上がり、こういう会が求められていると感じた。農家も参加しながら価値観を共有したり、情報交換ができたりする場が必要なのでは、とイベントを企画した」と話す。
当日は、同店の利用客や近隣住人、大坪さんの知人たちが参加。自己紹介では「体調不良の経験からオーガニック野菜を探すようになった」「アレルギー症状がきつい子どもがいるのでいろんな情報を仕入れてみんなに伝えたい」「親ががんになった時に何か体にいい物はないかと探し、宅配の野菜など少しずつオーガニックに変えていっている。小さな子どもがいる親や、病気の家族がいる人に伝えたい」などと、食べるものや健康を考えるようになったきっかけや思いなどを話した。
参加者からは「畑をしてみたいが始め方が分からない」「本当にいいと思うものを広めたい」などの議題も出され、瀬利さんの畑で農業体験をすることや、東大阪市内の商業施設で学生を対象に、体に良い食べ物や旬の野菜について話をするイベントを開くことが決まった。
参加者はこれまで、「本当にいいと思う情報を発信しているのに引かれる」「夫と価値観が共有できない」という経験をしてきたといい、イベント終了後は「自分の話を聞いてくれたのがうれしい」「自分のやりたいことがここでは否定されない。こんなに思いが同じ人が見つかって泣きそう」と笑顔を見せた。
大坪さんは「想像以上に盛り上がってうれしい。これを機に、議題に上がったことは実現していきたい」と意欲を見せる。