近畿大学(東大阪市小若江3)文芸学部文化デザイン学科の学生が考案した、社会課題について学べるオリジナルアナログゲームが1月25日、ウェブサイトで一般公開された。
健康と福祉をテーマにした「WWW (Word Wolf Welfare)~すべての人にハピネスを添えて~」
ゲームの考案は、広告制作や地域活性イベントの企画・運営を手がける「シカトキノコ」(大阪市東成区)の社長で同大学非常勤講師の藤田ツキトさんが担当する「プロデュース学特論III」の授業の一環。「大人になって、さまざまなプロジェクトをプロデュースする時に必要なのは、遊び心を持って取り組むこと」と話す藤田さんは「『遊び』を作れる大人になろう!」をテーマに授業を行っている。
同講義には3年の学生31人、4年1人が出席し、後期の授業では4つのチームに分かれ、SDGsをテーマにアナログゲームを考案。学生へのアンケートを基に、SDGsの17の目標の中から関心の高い上位4つの目標をゲームのテーマに設定し、チームごとにゲームを考案した。
目標3「すべての人に健康と福祉を」をテーマにした「WWW (Word Wolf Welfare)~すべての人にハピネスを添えて~」は、雑談の中から少数派のカードを持った人を見つけ出すゲーム「ワードウルフ」をモチーフにしたカードゲームで、雑談のテーマには「依存症」「環境汚染」「健康」「福祉サービス」などを選んだ。
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」をテーマにする「えぇとこみっけゲーム」は、引いたカードのお題に沿って、自分やお互いのいいところを見つけるオリジナルゲーム。目標11「住み続けられるまちづくりを」をテーマにした「まちづくりスゴロク」は、都市部の人口増加、災害への対応、過疎地や都心部の交通機関の課題について、ゲームを通じてまちづくりの取り組みを学ぶ。目標16「平和と公正をすべての人に」をテーマにした「ハピ狼」は、参加メンバーをほめながら正体を見抜いていく、「ハッピーになれる人狼ゲーム」。
「えぇとこみっけゲーム」を発案した桑谷百香さんは「ジェンダーの課題を根本から解決するには、自分を認めないと相手を認められないので、まずは自分のいいところを見つけることをしようと思い付いた。発言をしやすくするためにカウントをする時にはみんなで声を出すルールにしたり、カードをめくりやすい大きさにしたりするなど、考えながら何回も調整した」と振り返る。同グループでリーダーを務めた式田花実さんは「みんなが自分から動いてくれるのがこのチームのいいところだが、全員が満遍なく発言できるかを考えるのが難しかった」と明かす。
完成したゲームはウェブサイト上で一般公開しており、それぞれのゲームに使うアイテムやルール説明書をダウンロードすることができる。式田さんは「幅広い年代の人、初対面の人同士でも遊ぶことができるのが特徴。地域がつながるきっかけになれば」と話す。