企画展示「旧河澄家に伝わる装飾具展」が現在、東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で行われている。
河澄家は江戸時代に日下村に3軒あった庄屋の1軒で、河澄家から東大阪市に寄贈された史料や民具は約1200点ある。同館では、史料や民具を保存するだけでなく、テーマを変えて主屋や蔵で展示を行っている。
今回は、屏風(びょうぶ)や掛け軸、襖(ふすま)書などの表具をテーマに展示。「六曲一双 花鳥図屏風」は背景に金泥で雲を描き、右隻(うせき)には梅と流水、左隻(させき)にはクジャクを描いている。描かれた時代や作者は不明。「二曲屏風 鶴の絵」は落款に「狩野氏」「正信之印」とある。
掛け軸は、土佐光成作「二福神」、狩野探信作「鶉(うずら)」、清原雪信作「文殊釈尊普賢 三幅対」、岡村閑翁作「閑翁称太虚之號之詩」を展示。掛け軸はすべて初公開となる。岡村閑翁は幕末から明治時代の儒学者・教育者で、同展では閑翁が90歳の時に書いた4面の襖書も展示する。
河澄家の奥座敷「棲鶴楼」の扁額(へんがく)は、江戸時代の仏教僧・慈雲尊者が揮毫(きごう)したもので、東大阪市内には慈雲尊者の書が多く残されている。棲鶴楼は、上田秋成らが集まる文化サロンになっていたことから、会場では東大阪市が所蔵する上田秋成が詠んだ和歌などをパネルで紹介する。同館統括責任者の堀木昌彦さんは「上田秋成に関連する資料は寄託しているため現物がないが、どういう背景で歌が詠まれたかなどを知ると面白い」と話す。
「今回の展示作品ではないが、棲鶴楼には唐獅子牡丹図の杉戸などもある。棲鶴楼は数奇屋風書院造りで、欄間などの室内装飾も部屋のデザインとなっている。部屋の装飾も合わせて見てもらえたら」と堀木さん。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。6月23日まで。