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東大阪で「近鉄電車のデザイン」展 歴史資料や「ならしかトレイン」

近鉄に現存する最古の車内案内駅名表示幕

近鉄に現存する最古の車内案内駅名表示幕

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 特別展「みんな大好き!近鉄電車のデザイン」が7月5日、東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で始まった。

「ならしかトレイン」のフォトスポット

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 近鉄の前身である大阪電気軌道(大軌)の最初の路線として1914(大正3)年4月30日に上本町~奈良間で開通した近鉄奈良線。近鉄路線の中で最も歴史があり、今年で開業110年を迎える。同展では、近畿日本鉄道、近鉄グループホールディングスの協力の下、車両デザインの変遷をたどる写真パネルや歴史資料、ポスターなどの印刷物などを通して交通デザインの魅力に迫る。

 会場は4章で構成する。第1章では、「奈良線創業時のデザイン」にまつわる資料を展示。「CARNEGIE」「1912」など製造会社や製造年の刻印が施された開業時のレールや旧生駒トンネルに使用されていたれんが、トンネル工事の写真を使った絵はがき、車庫用地の平面図や覚書などの山澤家文書、近鉄に現存する最古の車内案内駅名表示幕、創業100周年時に奈良線各駅に張られたポスターなどが並ぶ。

 同センター学芸員の田中由紀子さんは「東大阪市文化財課から借りた山澤家文書からは、奈良線エリアの地主だった山澤家が鉄道を敷くことに積極的に協力し、早い段階で契約をして計画が進められていたことがこの資料から分かる。駅名表示幕は今回の見どころの一つ。車内のお客さまに見せるもので、人力でひもを引っ張ると駅名と車内広告が変わる」と解説する。

 第2章は、奈良線開業に向けて製造された木造の小型車両「デボ1形」に始まり、現在も走行する特急車両、一般車両、今秋デビューする新型一般車両8A系まで、奈良線を走行した車両の写真と解説パネルを展示。「大正時代のデザインは曲線が多く優美なものが多い。車両デザインも影響されているのでは」と田中さん。

 第3章では、新型車両や記念乗車券発売時のポスター、大阪電気軌道時代の路線図や沿線案内、関係者向けの車両概要パンフレット、制服などが並ぶ。会場には、同展のために製作された奈良線沿線のモチーフを配したジオラマを展示しており、「しまかぜ」「ならしかトレイン」などのNゲージ鉄道模型が走る。

 第4章では、2022年12月から神戸三宮~近鉄奈良間を走行しているラッピング車両「ならしかトレイン」に焦点を当て、企画者へのインタビューを基に製作したパネルや、西大寺車庫で撮影した車両の写真をつなぎ合わせて製作したフォトスポットなどを展示。田中さんは「ならしかトレインに乗っても、ほかの人が乗っているので自身の周辺しか見ることができないと思う。ここにも鹿のモチーフがあるなど、発見があるのでは。座っている感じのポーズで写真を撮ってもらえたら」と話す。

 関連イベントとして、8月10日に東花園車庫見学ツアー、8月11日に鉄道芸人のダーリンハニー・吉川正洋さんの鉄道トーク、8月18日に近畿車輛(しゃりょう)で車両製造に携わった林基一さんのトークショーを行う。車庫見学ツアーと吉川さんのトークイベントは事前申し込みが必要(応募多数の場合は抽選)。

 田中さんは「見る機会が少ないレアな展示。夏休み期間なので子ども連れの家族に来てもらいたい。毎日意識せず触れている交通デザインの面白さや美しさを感じてもらえる機会になれば」と来場を呼びかける。

 開催時間は10時~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場料は500円(東大阪市内在住の65歳以上、高校生以下、障害者手帳持参者と同伴者1人無料)。9月1日まで。

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