還付金詐欺被害を防止したとして大阪刑務所の刑務官・朝部貴彦さんが7月16日、大阪府河内警察署が贈呈した感謝状を受け取った。
朝部さんによると6月1日正午ごろ、河内警察署管内の金融機関で「高齢女性が携帯電話で、大きな声で真剣そうに話をしていた」という。用事を済ませた朝部さんは、一度は銀行から出たが、気になって戻ると一番奥のATMで通話しながら操作をしていたため、「その電話、大丈夫ですか」と声をかけた。
「その女性は保険の人だから大丈夫と言ったが、土曜の12時過ぎに保険会社の人が電話をしてくること自体がおかしいと思った。いったん切ってもらえますかと電話を切ってもらって、近くの交番に同行し、警察官に引き継いだ」と振り返る。市役所保健課の人物をかたり、還付金が戻ってくるという内容の電話がかかってきていたことが後になって分かったという。
感謝状を受け取った朝部さんは「今、刑務官の研修を受けていて、被収容者の動静をしっかり見るという内容の研修を受けている最中だったので、大声での会話が気になって、戻ったらそういう場面だった。間違っていたら『すみません』の一言で済むので、間違っていてもいいからと勇気を出して声をかけた」と話す。「被害が発生する前に防止できたことに微力ながら貢献でき、自分の中では誇らしく感じたりもしている。何より、被害者が出なかったことがうれしい」とも。