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司馬遼太郎記念館で企画展「空海の風景」 初版発行50年、自筆原稿も

展示物の解説をする上村洋行館長

展示物の解説をする上村洋行館長

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 企画展「司馬遼太郎 『空海の風景』」が現在、司馬遼太郎記念館(東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860)で開催されている。

「空海の風景」の題字や自筆原稿

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 1973(昭和48)年1月から中央公論で2年9カ月間にわたり連載された司馬遼太郎さんの小説「空海の風景」。来年で単行本初版発行から50年、今年は空海生誕1250年に当たることから同展を企画した。

 同館の上村洋行館長によると、同作品は「空海が遺した書物や弟子が空海の死後にまとめた御遺告(ごゆいごう)などに書かれている空海の思想や考え方、時代相、空海の歩いた足跡、周りの人がどのように空海像を見ていたのか、といったことを空海の時代の風景とすることで、空海の実像の一端に触れることができたらと書き始めたもの」という。

 同展では、空海の足跡を表した地図を展示ケースの壁面全面に展示。仏教などの学問にはげんだ青年期、修行時代、遣唐使の一員として入唐(にっとう)し、高野山に道場を開くまでを図示し、同作の引用文や挿絵、写真などと共に司馬さんが描いた空海を表現した。

 ケース内には、中央公論社が製本した同作の自筆原稿や須田剋太さんが描いた挿し絵、13世紀後半に作られたと見られる、空海の生涯を文章と絵であらわした絵巻「高野大師(こうやたいし)行状絵図」(複製)、同作など一連の歴史小説に対して贈られた1975(昭和50)年度の「日本芸術院恩賜(おんし)賞」の賞状などを展示。「高野大師行状絵図の一部のシーンが初版の単行本の表紙に使われているので、本と合わせて展示している」と上村館長。初公開4点を含む42点の資料を展示する。

 上村館長は「司馬遼太郎は、日本史の中で空海だけが世界観をもった思想家で、その思想は世界に通用するということを書いていた。この展示をきっかけに、1000年以上前の人物の実態に少しでも触れたいと思いながらいろいろなことを調べていったプロセスの結果を、作品の中から読者の方が感じ取ってくれたら」と話す。

 8月24日は14時から、企画展や司馬さん、記念館活動について上村館長が語る「夏の館長トーク」を開催する。参加無料(要別途入館料)。定員152人。申し込みは同館事務局まで、電話とファクス(FAX 06-6726-3856)で受け付ける。

 開館時間は10時~17時。月曜休館(祝日、振替休日の場合はその翌日)、9月1日~10日、12月28日~来年1月4日休館。入館料は、一般=800円、中高生=400円、小学生=300円。来年4月20日まで。

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