大阪府立中央図書館国際児童文学館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)で現在、小展示「チェコの絵本展」が開催されている。
カレル・チャペックの「ダーシェンカ、あるいは子犬の生活」と日本語訳された「だあしゑんか:仔犬の生ひ立ち」
以前からチェコの絵本を多く所蔵し、現在、約400冊の絵本や児童書を所蔵する同館。新たに購入した絵本も合わせて60冊を展示し、時代別に絵本画家や作家を中心に紹介する。
同館室長の武田麻美さんによると「チェコの絵本には、いろいろな作家が描き続けて伝えられている昔話やおとぎ話があり、色合いが独特で、子ども向け過ぎない絵柄のものもある。チェコでは絵本文化が暮らしに根付いており、クリスマスプレゼントなどにもよく使われている。日本語訳されているものも多い」という。
チェコスロバキア共和国として独立した1918年以前の作品を展示するコーナーでは、世界で初めて出版された幼児向けの絵入り教科書とされる1658年に書かれた「世界図絵」や、ドイツのグリム兄弟のようにチェコでカレル・ヤロミール・エルベンやボジェナ・ニェムツォが収集した昔話、伝説、それらの本に挿絵をつけた作品などが並ぶ。
1918年~1938年の第一共和国時代のコーナーでは、チャペック兄弟の兄・ヨゼフ・チャペックの作品「こいぬとこねこはゆかいななかま」、弟・カレル・チャペックが愛犬・ダーシェンカの成長を描いた「ダーシェンカ、あるいは子犬の生活」などを紹介。1933年に出版されたダーシェンカは、翌年には日本語にも訳された。オンドジェイ・セコラの代表作「ありのフェルダ」はチェコの国民的キャラクターとなっており、武田さんは「来館者の中にはチェコの絵本と知らずに読んでいたという人もいた。その後にアニメーションから絵本になったクルテク(もぐらくん)シリーズも、日本でもなじみがある」と話す。
新しい出版社によって2010年以降に出版された絵本を紹介するコーナーでは「実験的な作品や大判の作品を取り寄せた。刺しゅうで絵を描いたものなど、美しい絵本が多い」と武田さん。プラハ在住の画家・出久根育さんが絵をつけた作品や、翻訳家の木村有子さんが翻訳した作品なども紹介する。カウンター前には日本語訳された絵本や児童書を集め、館内で閲覧できるようにした。
武田さんは「チェコは激動の国で、絵本も歴史と関係し、時代ごとにいろいろな絵本がある。カラフルで魅力的なチェコの絵本を見てもらいたい」と話す。
開館時間は9時~17時。月曜休館。入館無料。9月11日まで。