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東大阪・旧河澄家で酒井南斎さん「細密切り絵展」 大阪・奈良の風景を題材に

切り絵作家の酒井南斎さん

切り絵作家の酒井南斎さん

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 企画展「酒井南斎 細密切り絵展」が8月30日から、東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で開かれている。

あべのハルカスや通天閣を題材にした作品

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 1952(昭和27)年生まれ、大阪市東住吉区出身の酒井さんは、小学校で教師をしていた時に図画の授業でできる題材を探し、小さな切り絵の本を買ったが、「その時は下絵に沿って切るのでオリジナル作品を作ることができないと、1、2年で授業に取り入れるのをやめた」と話す。定年退職後は写真教室に入会し、昆虫と花の写真を撮影するようになり、「冬は撮影するものがないので、自分が撮影した写真のプリントを基に下絵を描き、切り絵を始めた」と振り返る。

 10年ほど前に神戸の美術館を訪れた際、神戸の今と昔をテーマにした版画展を見て、「大阪の街の様子を切り絵で表現してみようと思った」と酒井さん。2016(平成28)年に初めて出品した、道頓堀の老舗店「はり重」を題材にした切り絵作品で「第20回大阪描こう展 シェラトン都ホテル大阪賞」を受賞し、以降、数々の賞を受賞。現在は作品の制作のほか、切り絵教室の講師も務めている。

 同展では、大阪と奈良の風景を題材にした作品29点を展示。大阪の風景では、大阪城や中央公会堂、あべのハルカス、通天閣、道頓堀、黒門市場など、奈良では法隆寺や當麻寺、薬師寺などを題材にした作品が並ぶ。作品は、黒い紙に細かく下絵を描き、ガラスの上で切った後、色の付いた和紙を裏から貼り付けており、思うような色の紙がない場合は自身で和紙に色を塗って使ったり、ちぎり絵のように貼ったりしている。

 「本来、切り絵は黒色を生かすが、あべのハルカスのような建物の場合は黒がうるさくなってしまうので、白い紙を切って合体させている。線の部分を1枚の紙で表現する人もいるが、パーツを作って組み合わせ、より細かくしている」と酒井さん。「下絵が一番難しく、基になる写真に感動できなければ気持ちが続かない。写真を撮る時にできるだけ人を入れて、風景が生きるようにしている」と話す。

 酒井さんは「裏から切って、表に向けた時に『できた』と思う瞬間が感動する。根気よくやれば、誰でも必ずできる点も切り絵の魅力」と話し、「地域の高齢の方にも気軽に見てもらえたら」とほほ笑む。

 開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。9月23日まで。

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