近鉄奈良線・八戸ノ里駅前に3月13日、学生と地域住民のための憩いの場「八戸ノ里パレットスケープ」が期間限定でオープンした。
近鉄奈良線・八戸ノ里駅南側の緑地に設置する「八戸ノ里パレットスケープ」
近畿大学から八戸ノ里駅まではシャトルバスが運行されているが、学生らはバスを降りるとすぐに電車に乗ってしまう。駅近くに八戸ノ里商店街があるが、学生と地域住民とのつながりや「学生のまち東大阪」としてのにぎわいは醸成されていない。同プロジェクトは、「学生のまち東大阪」のにぎわい創出の実践研究として東大阪市地域研究助成金を受けて行うもの。同大大学院総合理工学研究科建築デザイン専攻の垣田博之准教授が「授業では図面や模型作りが中心なので、学生にとって社会との関わりを技術で解決する勉強になるのでは」と応募した。
博士前期2年の学生が過去10年間にできた休憩場所を体系的に調べたところ、東日本大震災発生後の5年間で地域の人が集まる小さい構築物が多くなっており、地域名を付けたスペースが増えているという。にぎわいの創出には学生や地域住民が気軽に利用できるパブリックスペースが必要と考え、「八戸ノ里パレットスケープ」の開設を提案した。
学生らが周辺をリサーチしたが商店街内にはスペースがなく、バス停、駅、商店街を結ぶ駅南側の緑地に注目。材料には、間伐材を有効利用した新品のパレットと産業廃棄物として処理される中古のパレットを利用し、テーブルと椅子を設置した憩いの場を設計した。
2月中旬ごろからは商店街の空き店舗を借り、地域住民に見える状態で製作。設計・デザイン論研究室修士1年の小谷勇太さんは「パレットの加工はしたことがなかったし、木材を切るのも素人。1つ目のパーツを作るのに時間がかかり、実際に建てる難しさを学んだ」と振り返る。神田峻伸さんは「床に使っている中古パレットに弱い部分があるなど、図面で考えていた通りにはいかなかった」、島袋竜次さんは「3人しかいないので持ち運ぶのも大変だった」と、それぞれ苦労を明かす。
同エリアで開かれたバルイベントに合わせ3月13日にオープンすると、「想像以上に子どもが利用している」と言い、「どのように使われているか調査研究したい」(小谷さん)、「弁当を食べるなど日常の中にあればうれしい」(神田さん)、「近大生のバスの休憩所になり、商店街とのつながりができ活性化につながれば」(島袋さん)と期待を寄せる。
「八戸ノ里パレットスケープ」は10月中旬ごろまで開設予定。夜間は利用不可。