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東大阪・田辺聖子文学館で「源氏物語」企画展 直筆原稿「序章・桐壺」初展示

「絵草紙 源氏物語」と初展示の直筆原稿「序章・桐壺」

「絵草紙 源氏物語」と初展示の直筆原稿「序章・桐壺」

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 大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館(東大阪市菱屋西4)の第16回特別企画展「田辺聖子の源氏物語-ようこそ、田辺源氏の世界へ-」が10月26日、始まった。

初展示の直筆原稿「序章・桐壺」

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 故・田辺聖子さんの代表作の一つである「新源氏物語」の雑誌連載開始から50年となる今年、NHK大河ドラマ「光る君へ」で注目が集まる「源氏物語」にまつわる田辺さんの作品に焦点を当て、企画した。初展示の直筆原稿「序章・桐壺」など、25点の資料で構成する。

 与謝野晶子や谷崎潤一郎など、源氏物語の翻訳をした作家たちの作品は、原作通り「桐壺(きりつぼ)」から始まるが、田辺さんの「新源氏物語」は冒頭の2巻を外し、3巻「空蝉(うつせみ)」から始まる。同館学芸員の住友元美さんは「田辺さんは『青年源氏』の物語として書きたかった。新源氏物語は現代語訳ではなく、世界観を維持しながら読み物として楽しめるように田辺さんが再構築した作品」と解説する。

 「週刊朝日」に1974(昭和49)年11月から連載された「新・源氏物語」(後に「新源氏物語」)の直筆原稿と共に、これまで公開されていなかった「序章・桐壺」の直筆原稿が田辺家に保管されていたことが3月、同館館長・中周子さんの発表した論文で明かされた。「連載と同時期に執筆されたものと推察され、1978年に刊行された単行本に、その一部が加筆されている」と住友さん。「新源氏物語」は、週刊朝日の連載、単行本、文庫本、続編との合本、全集と刊行されており、その間、加筆修正を重ねている。「一つの作品を書くために、表に出さない原稿まで準備していた。1974年の『新・源氏物語』連載開始から2004年に刊行された『田辺聖子全集』まで加筆修正を重ねていることから、田辺さんの作品への熱量が分かる」と話す。

 会場では、1928(昭和3)年生まれの田辺さんが源氏物語と出合った小学校の教科書「小学国語読本 巻十一」や西條八十の詩「紫式部」(「主婦之友」 昭和14年4月号)、源氏物語について記した学生時代のノートのパネル、「新源氏物語」以外の田辺さんの源氏物語に関する著作などを紹介する。

 11月6日・16日13時30分~14時30分には、住友さんによるギャラリートーク「『田辺源氏の世界』への誘い」を開催する。定員は各回15人、申し込み先着順。

 開館時間は9時~16時30分。日曜・祝日。入場無料。11月25日まで。

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