
石切劔箭(いしきりつるぎや)神社前の「お食事処 すずや×石切丸」が4月1日、「石切おでん専門店 すずや」(東大阪市東石切町1、TEL 072-982-3119)としてリニューアルオープンした。
「でんぼの神さん」として知られる同神社。「でんぼ」は「腫れもの」を意味し、同神社には病気平癒のご利益を求めて多くの人が参詣に訪れるため、石切参道商店街の飲食店では体を切ることを想起させないよう、切り身を入れない「石切おでん」を100年以上販売している。石切参道商店街には、店頭の丸鍋で甘く濃い味付けの関東煮風の石切おでんを炊く店が6店ある。
日本の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成するため、文化庁では地域で世代を超えて受け継がれ、長く愛されてきた食文化を「100年フード」に認定しており、石切のおでんは2024年度の「近代の100年フード部門~明治・大正に生み出された食文化~」に認定された。
同商店街で最も古くから石切おでんを販売し続けている「すずや」では、これまで麺類などのメニューも多くそろえていたが、「おでんは神社のご利益にあやかったもので、万博を見に海外からも多くの人が来るので、石切のおでんを見直してもらう機会にしたい」と業態を変更。石切おでんをメインに、おでんを使った新メニューを開発した。店主の小西学さんは「麺類はファストフードだが、おでんはゆっくり食べるもの。ゆったりしてもらえるよう、席数も46席から32席に減らした」と話す。
おでんは、揚げ、卵、ごぼ天、ちくわ、大根、ジャガイモ、こんにゃく、丸天の8種類で、価格は、3種盛り=550円、5種盛り=900円。おにぎりやかやくご飯、いなりずしとセットにした「縁起のおでん定食」(おでん5種、箸休め、吸い物、香物付き=1,200円~)もある。新メニューの「縁起のおでんのとうふめしセット」(850円)は、おでんの豆腐をご飯の上で崩しながら食べるメニューで、「石切おでんのポテトサラダ」(500円)は、おでんのジャガイモと卵を使う。メニューを新しくするに当たり、いなりずしも50年ぶりに復活させた。
大阪・関西万博の開幕に合わせ、同店では、おでん3種とミニトマトを盛り合わせた「石切おでん万博盛り」(700円)をメニューに加えた。同メニューは、大阪商工会議所、大阪観光局、大阪外食産業協会が食の力で万博を盛り上げる「くうぞ、万博。」プロジェクトに参画し、開発したもので、「大阪のまちなかで食べられる万博メニュー」として同プロジェクトのSNSなどで取り上げられている。
小西さんは「石切は万博会場から電車一本で来られるエリア。命や健康をテーマにする万博なので、病気平癒の縁起のメニューで盛り上げていければ。石切のおでんがさらに発展し、宇都宮ギョーザのようになれるよう努めたい」と話す。
営業時間は10時30分~16時。平日不定休。