枚岡公園(東大阪市東豊浦町ほか)内・枚岡梅林で10月24日、伐採が決まった梅の御霊(みたま)を慰める清祓い式が執り行われた。
同梅林は1881(明治14)年、氏子ら地元有志が枚岡神社神護寺跡地に梅を植えたのが始まりとされ、現在は約30種類、約320本の梅の木がある。梅林内外の整備により観梅に訪れる人が増え、環境省が選定する「かおり風景100選」に選ばれるなど梅の名所として親しまれてきたが、梅・桃などの植物に感染する梅輪紋(りんもん)ウイルスが確認され、大阪府が2月17日に同園内の梅・スモモ全322本を伐採すると発表した。
同ウイルスは全国に広がりを見せており、人や動物には感染しないが、感染した植物は農薬などで治療することができず、対象区域内に1割以上の感染が確認された場合、全ての木が伐採されることになっている。ウイルスには約3年の潜伏期間があるとされており、複数年にわたり調査し、ウイルスの根絶が確認されるまで新たに梅の木を植栽することができない。
枚岡神社では、「梅の御霊を慰め梅林を築いてきた先人の功績をたたえるため、清祓いの儀式をすることにした」とし、大阪府や東大阪市の関係者、氏子らが参列。儀式の後、中東弘宮司は「約140年の歴史があり、大勢の人が梅を見にきて梅狩りを楽しんだ。今まで語り継がれてきたように、再生してまた語り継がれる森づくりをしていきたい」などとあいさつした。
地元に住む68歳の女性は「植物もあり虫もいるので、子どもや孫たちを連れてしょっちゅう来ていた。娘から清祓式があると聞き、残念に思い参列した」と話す。毎日弁当を持参して梅林に来るという別の女性は「毎年行われていた梅狩りが楽しかった。このまま残してもらいたい」と、梅林を見渡しながら残念そうに話していた。
梅の木は11月に入ってから伐採する予定で、今後は八尾土木事務所を中心に、大学教授や同神社、市民の意見を取り入れ、梅だけでない森の計画を3年の間に作成する予定。同神社では梅林を忘れられないよう、梅の季節には催しを開いていくという。