大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)1階展示コーナーで3月7日、「震災展 地震と大阪 幕末から近現代にかけて」が始まった。
「震災の記憶を風化させず、いつまでも防災の意識を持ち続けたい」と、東日本大震災発生の翌年から毎年行っている同展示。
「1995年の阪神・淡路大震災が発生するまでは『関西は地震が少ない』と考えられていたが、過去を振り返ると約90年~150年おきに南海地震や活断層による地震で大きな被害を受けている」とし、当時の人が被害の惨禍を伝えた碑文と同館の所蔵資料をパネルにし、幕末以降に大阪で発生した地震と、大阪が救護活動の中心的役割を果たした関東大震災を振り返る。
1854(安政元)年に発生した安政南海地震による犠牲者の供養碑「大地震両川口津浪記」(大阪市浪速区)と「四天王寺安政地震津波碑」(天王寺区)には、多くの人が小船で避難しようとして船とともに津波の犠牲になったと、災害が繰り返されることのないよう当時の状況が刻まれており、堺市にある擁護璽(ようごじ)の石碑には、多くの家屋が崩壊し、船が流され橋が崩落したが、多くの人が神社に避難して難を逃れたことなどが記されている。
府立中之島図書館で所蔵する瓦版「摂津大阪近辺早引方角付大地震ニ附大津波次第」では、11月4日の安政東海地震と、翌5日の安政南海地震の両地震による揺れ、安政南海地震の本震発生から約2時間後に襲った大津波の様子を記録している。
1891(明治24)年の岐阜と愛知に甚大な被害をもたらした濃尾地震や、1927(昭和2)年に丹後半島で発生した北丹後地震、1936(昭和11)年の河内大和地震などが発生したときの大阪の状況も紹介する。会場には、府政策企画部危機管理室が作成した防災啓発パネル「南海トラフ巨大地震が発生したら…」も展示する。同展に合わせ、安政南海地震の津波発生時に濱口悟陵が稲むらに火をともして安全な場所を知らせた実話をモデルとした小説「稲むらの火」や、幕末以降の震災の記録、児童書、地震学など、関連図書もそろえる。
3月20日には同館司書による絵本の読み聞かせと、東大阪市消防局西消防署の消防隊員が、地震が起こった際にどのような行動をとればいいかを児童に伝えるイベント「ふるえるはなし」を開き、化学車の車両見学なども行う。
総務企画課の上村厚貴さんは「先人が碑文や瓦版を残して、後世にもこういう地震が起こると伝えてくれている。大阪にまつわる資料がたくさんあるので、この機会に目を通してもらい自然災害に対する認識を深めてもらいたい」と話す。
開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。9日・13日休館。今月20日まで。