東大阪市内のものづくり企業や名所を巡る「モノづくりのまち東大阪 モノづくり体感モニターツアー」が3月18日、開催された。
市内ではこれまで、ものづくり企業の社長講演や工場見学、ものづくり体験などを取り入れた「モノづくりツアー」を大阪モノづくり観光推進協会が企画し、修学旅行生を中心に年間約6000人受け入れてきたが、「個人で工場見学に行きたい人もいる」と、新たなツアーを作るため、名所巡りも盛り込んだモニターツアーを企画した。
午前のコースは、ステンレス加工の野田金属工業(東大阪市鴻池徳庵町)を訪れ、「17歳のときに終戦直後の何もない満州で生きるために作った鍋がものづくりの原点」という野田邦雄会長の体験談を聞いた後、さまざまな金属加工の工程を工場で見学。バスで移動し、八戸ノ里の「宮本順三記念館 豆玩舎ZUNZO(おまけやズンゾ)」(下小阪5)では、折る刃式カッター「オルファ」創業兄弟の一人・岡田三朗さんの指導を受けながら、カッターを使ってランプシェード作りを体験した。その後、菜の花の飾られた道を歩き、司馬遼太郎記念館(下小阪3)で庭や館内を見学した。
午後のコースは、重要文化財の鴻池新田会所(鴻池元町)で、善根寺の宮大工・鳥羽瀬社寺建築の棟梁・鳥羽瀬公二さんから建築の伝統技法を学び、同館の貫(ぬき)に使われる「略鎌継(りゃくかまつぎ)」という継手の加工を、のこぎりやのみを使って体験。その後、石切に移動し、河内木綿はたおり工房(東石切町3)では、卓上ミニ機織り機を使ってコースターを作り、綿繰りや糸紡ぎも体験。石切参道商店街を散策し、ツアーを終了した。
午後のコースに参加した50代の女性は「話を聞いて写真を撮るだけでなく、体験することで思い出に残り、参加した人が広めていけるのでいい試みだと思う。道具が好きなので、匠(たくみ)の技が間近で見られてよかった」と話す。
ツアー終了後、大阪モノづくり観光推進協会専務理事の足立克己さんは「みんながわいわい言っていたのがうれしい。説明ばかりするより現場で体験してもらえることの意味が大きい。自信を持って技を発信することが観光資源になるので、いろんな人に参画してもらい、まちの総合力を出していきたい」と、新ツアーの企画に意欲を見せる。