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東大阪で田辺聖子文学館出張展示 少女の視点で書いた戦争体験作品を紹介

田辺聖子文学館出張展示「田辺聖子物語-作家の自伝的作品」

田辺聖子文学館出張展示「田辺聖子物語-作家の自伝的作品」

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 大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)1階展示コーナーで9月20日、田辺聖子文学館出張展示「田辺聖子物語-作家の自伝的作品」が始まった。

掲載誌や初版本などを展示

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 大阪府立中央図書館、大阪樟蔭女子大学図書館(菱屋西)、田辺聖子文学館(同)が共催する同展。田辺聖子文学館10周年記念企画として、同展と文学館見学ツアーで構成する(ツアーは終了)。

 1928(昭和3)年3月に生まれた田辺さんは、現在の大阪市福島区辺りに住み、1944(昭和19)年に同大前身の樟蔭女子専門学校に入学。1年目はキャンパス内に軍需工場ができたため学問を学ぶことができず、1945(昭和20)年6月の大阪大空襲で実家の田辺写真館が焼失。戦後、空襲に遭わなかった同校ではすぐに授業を再開し、田辺さんは通学をしていたが学友の半分は通学ができず卒業できない状況だった。

 同展では、田辺さんが保存していた写真や日記、学生時代に書いた作品などを元に、田辺さんが自らの半生を俯瞰(ふかん)して書いた「田辺聖子物語」ともいえる自伝的作品5作品をピックアップし紹介。

 「田辺写真館が見た『昭和』」(2005年)では、昭和6年~7年ごろに撮影されたとされる写真に4歳ぐらいの田辺さんが小脇にしっかりと本を抱えている姿が写っており、幼いころから本が好きだったと振り返っている。終戦20年後に書かれた「私の大阪八景」(1965年)では、大阪大空襲の日を振り返っており、「欲しがりません勝つまでは」(1977年)では、軍国少女の一面と文学少女の一面が読み取れる、女学校時代に書いた作品を取り上げている。

 「楽天少女通ります」(1998年)では、戦後の混乱時代を家族のために働き続け、「オールドミス」などと呼ばれていた独身女性を応援したいという気持ちや、若くして空襲で散った学友への鎮魂歌として書いた作品に触れていることを紹介。

 総務企画課の上村厚貴さんは「物書きは時代の証人だと、子どもが好きなことを諦めていた時代があったことや、庶民や女性など弱者に対する視点で、戦争によって普通の人の身に何が起こったのかを伝えている。今の人が読んでもハッと気付かされる点が多い」と話す。

 会場ではパネルのほか、作品の掲載誌や初版本、田辺さんの自伝的作品を原作としたNHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」の紹介記事、オリジナルグッズなどを展示する。

 開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。10月11日まで。

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